ロシアで相次いで行われている財閥への弾圧が、政界の権力闘争に飛び火している様相だ。
12月の総選挙と来年早々の大統領選挙を控え、最近プーチン大統領の側近勢力を中心に、クレムリンが一部の財閥首脳を検察に召喚または逮捕に乗り出したことを受けて、エリチン前大統領の旧側近グループやオリガキー(ロシアの寡頭財閥)など「旧主流」が対抗に出る様相をみせている。
オリガキー勢力の代表格であるボリス・べレゾフスキー前ロゴバス・グループ会長は9日「プーチン大統領が再選すれば、改革という名分の下、財界に対する大掛かりな弾圧に乗り出すだろう」と警告し「プーチン以外の新たな代案を探すべきだ」と主張した。べレゾフスキー前会長は、エリチン政権の最高権力者だったが、プーチン政府との葛藤によりヨーロッパに亡命中だ。
プーチン大統領の潜在的競争相手として浮上し、クレムリンと葛藤を醸してきたカシヤノフ首相も8日、地方視察中に「大手企業の首脳らを次々と検察に召喚したり逮捕したのは、行き過ぎた措置」だとして、クレムリンを名指しで攻撃した。カシヤノフ首相は、べレゾフスキー前会長や今回検察に召喚されたユコスのミハイル・ホドロフスキー会長らと密接な間柄である。
韓国の全国経済人連合会(全経連)にあたるロシア企業連盟(RSPP)も9日会合を開き、財界を代表してクレムリンに対し、強力な抗議の意を伝えることを決意した。
これに対し、クレムリン側は一歩も譲らない構えをみせている。検察はユコスなど石油財閥の脱税の疑いに対し、本格的な捜査に乗り出すことにした。監査院も、財界No.2のロマン・アブラモビチ氏(石油企業シブネフティの大株主)に対する非公開の捜査に取り掛かった。
エリチン政権の実力者だったアブラモビチ氏は、このほど英国のサッカー名門チェルシー球団を買収して話題を呼んだ人物。
クレムリン側は2大選挙を控え、旧主流の資金源を断つことで政治的な影響力行使を源泉封鎖しようという目ろみである。クレムリンはまた、旧主流が改革の足かせとなっているだけでなく、国益よりは各々の財閥の利益を代弁するとみている。一部では今回の事態について、先月プーチン大統領の「3選不出馬宣言」を機に「ポスト・プーチン」を狙う旧主流と、プーチン大統領の側近グループ間の権力闘争の始まりだと分析している。
金起顯 kimkihy@donga.com