セマングム干拓事業の暫定的中断を求める裁判所の執行停止決定が出され、政府のセマングム事業に歯止めがかかった。
担当裁判部は執行停止の決定を下し、異例的に「申請者たちが勝訴する可能性がある」ことを明らかにし、今後のセマングム事業をめぐる本案訴訟の判決結果が注目される。裁判部は、セマングム干拓事業の全面中断を求める住民たちの政府措置計画の取り消し請求訴訟(本案)も引き受けている。
ソウル行政裁判所3部(姜永虎部長判事)は15日、全羅北道(チョンラプクド)セマングム地域の住民と、環境運動連合の崔冽(チェ・ヨル)共同代表など3人が先月、首相と農林部長官などを相手に提出した執行中止の仮処分申請を受け入れて、「防潮堤と関連するすべての工事の中止」を決めた。
住民たちは「本案の訴訟が進められる間、発生し得る損害を防ぐために事業を中止しなければならない」として仮処分を申請していた。
これによって、延長33kmのうち30.3kmに対する防潮工事が完了し、91.8%の進捗状況を見せている防潮堤工事がこの日から全面中断されており、91年に工事が始まったセマングム干拓事業も、原点で見直さざるを得ない状況を迎えた。
執行停止の効力は政府の抗告に関係なく、最小限本案訴訟1審の判決が予想される2、3ヵ月後まで続く。
裁判部は、決定文で「農地造成と水資源開発を目的にセマングム事業が推進されたが、新たに造成される淡水湖が深刻に汚染され、最初計画していた水準の農業用水(4級水)に維持される可能性が少なく、事業目的を果たしにくい」との見解を明らかにした。特に「国内唯一の河口干潟であるセマングム流域は生態的価値が大きく、干潟を保全する場合、毎年国民が得られる便益も莫大な金額にのぼる」とし、環境保全の重要性を強調した。
決定文は、また「防潮堤が完成して淡水湖が汚染されると、これを回復するのに莫大な費用がかかるため、本案訴訟の判決以前に工事を中止しなければならない切迫な事情もある。セマングム事業の最初の目的が達成されるとしても、莫大な費用負担が予想され、政府の承認を『当然無効』とみなすことも有り得るだけに、申請者たちが本案訴訟で勝訴する可能性もある」と付け加えた。
セマングム地域住民3539人は、01年8月「セマングム事業を承認した政府の処分を取り消してほしい」として、政府措置計画の取り消し請求訴訟をソウル行政裁判所に出しており、現在審理がほとんど終わりかけている。
一方、金泳鎮(キム・ヨンジン)農林部長官は同日、「今回の訴訟と類似の憲法訴願に対して、今年1月30日に憲法裁判所が却下の決断を下したのにもかかわらず、ソウル行政裁判所が執行停止の決定を下していて、非常に当惑している」と述べ、「高等裁判所に抗告した」と明らかにした。