選手生命をかけた両方の股関節手術、リハビリ期間中に発生した飲酒運転事件、今年の初めから引きずっていた年俸交渉の綱引きで白旗投降、そして「不注意からの事故発生の、すべての責任は私が負う」という覚え書き…。
最近、やっと球団から試合出場の許可を得たLG金宰鍱(キム・ジェヒョン、28、写真)。わずか8ヵ月あまりの短い期間だったが、金宰鍱としては生きてきたこれまでの人生とは比べられないほど、辛く、貴重な時間だった。そのためだろうか。ファンの期待を一身に受けて、後半期グラウンドへの復帰を準備している「戻ってきたキャノンヒッター」の金宰鍱は言葉を惜しんだ。
「暗いトンネルを野球に対する熱情一つで耐えてきました。良くないことでファンに心配をおかけして、申し訳ありません。球団に対してはノーコメントです。再び、野球さえできれば、どんな苦労も我慢し、耐えることができます」
金宰鍱は25日、 蚕室(チャムシル)で斗山(トゥサン)との 試合から出場する。現在、体の調子は守備を除いては、打撃と走塁がすべてこなせる程度。しかし、先月飲酒事件の際、韓国野球委員会(KBO)が決めた5試合出場停止の懲戒処分を受けなければならない。このため、金宰鍱は19日後半期の開幕に合わせて、早めに選手登録を終えた。
LGの李廣煥(イ・グァンファン)監督は内心心配をしながらも、金宰鍱が加われば、李ビョンギュ、金サンヒョンの相次ぐ負傷と徐溶彬(ソ・ヨンビン)の軍入隊で、「弱まった」チーム戦力の増強に大きく役立つものと期待している。李監督は「18日、蚕室での訓練のとき見たところ、金宰鍱のバットの実力は相変らずだ。初めは代打で起用し適応期を経て5番指名打者に起用する予定だ」と明らかにした。
LGは、金宰鍱を指名打者に起用すれば、外国人選手のアルカントラを、李ビョンギュが抜けた中堅手の席に入れることができ、外野守備と中心打線の破壊力強化という二つの問題を同時に解決することができる。
去年、歩くことさえ大変な状況で、金星根(キム・ソングン)前監督の手術勧告を振り切って、韓国シリーズ出場を強行、最終6次戦で左センターオーバー2打点の安打を打ち、主演より輝いた「秋の伝説」を誕生させた金宰鍱。プロ野球が夢と感動を与えることができるのは、こうした選手がいるからだ。
張桓壽 zangpabo@donga.com