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[オピニオン]NLL漁夫の利

Posted July. 20, 2003 21:59,   

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西海(ソヘ、黄海)砲撃戦の将兵を「悪魔」呼ばわりした文章が、A大学統一学生会の名で配布され、物議をかもしている。国際法上存在しない北方限界線(NLL)を主張して北朝鮮の武力衝突を引き起こし、同胞を無惨にも殺害したというのだ。

筆者は国防部の計らいで、西海砲撃戦があった当時、NLLで沈没した艦艇に乗船したことがある。弾痕がそのままの状態で、戦闘当時の熾烈な状況を物語っていた。西海砲撃戦戦跡碑の除幕式で、方足を失った李フィワン中尉が、「艦長、できの悪い私だけが生き残りました」と言って号泣した姿がよみがえった。

◆NLLによって韓国の漁民が強いられる苦痛は、並々ならぬものがある。白翎島(ぺクリョンド)と延坪島(ヨンピョンドノ)の漁民は、出漁時間を厳格に守って届けなければならない。また、NLLを中心に南北2kmの緩衝海域は黄金漁場なのにもかかわらず、入ることができない。北朝鮮の船舶がNLLの2km前方に迫ると韓国海軍も出撃するが、北朝鮮海軍の出撃を誘発しないようにするため、韓国の船舶もこの水域を侵犯してはならない。延坪島には、53隻のカニ漁船があり、1隻当たり3億ウォンの収入を上げるという。この地域は魚資源の宝庫だ。

◆西海の白翎島附近に、中国漁船が500隻以上あつまり、韓国漁場を破壊しているという報告がなされた。10km以上にも広げられた底引網で、魚資源を根こそぎさらうというのだ。彼らは主に、NLLを中心に、軍事緩衝海域に沿って移動する。南と北はいずれも衝突を憂慮して、警備艦の接近が困難であるという点を巧みに利用する。彼らは、南から追えば北に、北から追えば南へと、緩衝海域を出入りして操業する。7月には、南北はカニの禁漁期で出漁できないが、中国漁船は、むしろこの隙につけこんで、韓国の黄金漁場をかき乱すという。

◆先日、非武装地帯(DMZ)で銃撃事件が起り、再び緊張が高まった。NLLで犠牲になった若い将兵たちを思えば、一時も油断することができない。しかし、南北の若者の命を代価に、中国漁船が「漁夫の利」を得ていることを考えてみよう。この周辺水域の中でカニが最も多く収穫できる区域に、南北の漁民が接近できないことから、中国漁船が反射利益を得ているというのは、やりきれないことだ。NLL管轄権を確保しつつ、この周辺で緊張関係が高まる問題を根本的に解決するには、南北がNLLを基点に、共同漁労区域を設定する必要がある。そうすれば、韓国将兵の尊い犠牲が「悪魔」と罵倒されるとんでもないことも、もはやなくなるのではないだろうか。

安仁海(アン・インへ)客員論説委員(高麗大学教授)yhahn@korea.ac.kr