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[オピニオン]野蛮な社会

Posted July. 25, 2003 21:40,   

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政治資金法違反の疑いで法廷に立った金槿泰(キム・グンテ)議員は、1985年9月に、南営洞(ナムヨンドン)の対共分室で板の上に縛られ、電気拷問と水拷問を受けた時の悪夢がよみがえったかもしれない。当時、拷問しながらも、平然と嫁に行った娘の心配と大学入試を控えた息子を心配する「技術者たち」の無情さに、彼は制度化された野蛮の2つの顔を見たに違いない。集団暴行を加えた後、「裸で床を這って『助けてくれ』と言え」と強要する彼らの前では、最低限の人間の自尊心さえも踏みにじる野蛮の卑劣さに身を震わせたことだろう。彼は獄中記録「南営洞」で、「人間に対する信頼が粉々に砕けるしかなかった」と回顧した。

▲18年前、権力の野蛮を暴露した金議員が、再び法廷で韓国社会の野蛮を暴いた。原則と常識を持って生きるとみすぼらしくなり、夢と理想を守ろうとすればもの笑いの種になる不条理を告発したのだ。彼はまた、このような野蛮をそのままにして、善処を請うつもりはないと言う。彼の最後の供述は、ソクラテスの最後の弁論と似た論法だ。ソクラテスは、自分が無知とも知らない支配層の虚勢を辛らつに批判し、「あなたたちに涙で慈悲を請わない」と言った。公判を終えた後、支持者たちと手を取り合って「ファイト」と叫ぶ姿も、毒杯を仰ぐ前に弟子たちに囲まれて空を指差すソクラテスを描いたダビッドの絵を連想させる。

▲ソクラテスが「悪法も法だ」と言ったかどうかは確かでない。しかし、彼が脱獄を勧める弟子に「判決に効力がなければ、その国が存立するか」と聞いたことから、そのように考えたのは明らかなようだ。個人は礼儀を身につけて野蛮を排し、社会は法秩序を確立して野蛮を排するといえる。しかし、正義に反したり過度に苛酷な法は、かえって個人と社会をより野蛮にする可能性がある。それがまさに悪法だ。

▲金議員に適用された政治資金法は、非現実的と言えても、悪法とは言えない。守ることが困難であると知っていながら、偽善でその法を作ったのも、金議員が属している政界だ。ならば金議員が告発した韓国社会の野蛮の源泉は、他でもなく国民を欺瞞する立法をした政界なのだ。そして金議員自ら、その法を違反した事実を告白した。これをめぐり盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領が「笑いものになった」と言ったことが金議員を刺激したようだが、政界のつじつまの合わない政治資金法の論理にいざ笑いものになったのは国民ではないのか。

イム・チェチョン論説委員 cclim@donga.com