政府と財界が、労組の強力な力をけん制するため、会社の経営権を強化できるよう、関連法の改正を進めている。こうした動きは、現代(ヒョンデ)自動車の賃金団体交渉の結果が、企業の経営権を侵害しているなど、最近の団体交渉で労使間のバランスが崩れつつあるとの指摘によるものだ。
産業資源部(産資部)の尹鎭植(ユン・ジンシク)長官は6日、ストライキの現況についての報告を受け「最近の労使交渉の結果は、企業の経営権と労働の柔軟性を委縮させ、企業の競争力を低下させる」とし、対策作りを指示した。
産資部当局者は「現代自動車の労使交渉の結果は、海外工場の建設、雇用、解雇など経営全般にわたって、労組が過度に介入できるようにした」とし「労組の争議権に対抗し、憲法に保障された企業オーナーの経営権と営業権を強化する案を進めている」と述べた。
政府は、今月末までに総合的な労使関係のモデルを作る。この過程で、産資部は、労働争議に対する企業の「対抗権」を強化するため△ストライキ期間に交代労働を許容すること△整理解雇の事前通報期間を60日から30日に短縮すること△「労組と労働者の不当労動行為」の条項を新設すること△労組前任者への賃金支給を禁止すること△派遣労働の条件を緩和することなどを検討している。産資部は労働部など関係省庁と協議し、労働基準法と労働組合、労使関係調整法の改正を進めるとしている。
全国経済人連合会(全経連)の李圭煌(イ・ギュファン)専務は「最近、労組のストライキが相次ぎ、労使交渉で会社側が劣勢に立つ現象が続いており、企業と国家の競争力が深刻なダメージを受けるだろうとの見方で、政府と財界は一致している」とし「政府が新しく作る労使関係のモデルには、企業の経営権を強化する諸案が多数含まれるものと期待している」と話した。
西江(ソガン)大経済学科の南盛日(ナム・ソンイル)教授も「労働者数を一度増やせば減らせられないシステムでは、企業は成長できない」とし「労組の争議権に対応できる、会社側の経営権と営業権は、憲法に保障された当然の権利」と話した。
一方、全経連と韓国経営者総協会(経総)など各経済団体は同日、現代車の労使交渉結果について、相次いで批判の声明を発表している。全経連は同声明で「現代車が経営上の主要事項について、労組の拒否権を認めることによって△憲法上の財産権保障△民法・商法上の株主の経営権の本質を侵害した」と批判した。
経総も「会社が瀬戸際に立たされて妥結した経営権侵害の条項は、類例を見ないもので、韓国の自動車産業の将来を暗くする毒素になるだろう」との認識を表明した。
申然鐏 李恩雨 ysshin@donga.com libra@donga.com