最高裁判所裁判官の人選問題をめぐる「司法問題」が、ともすれば司法部と大統領府のかっ藤に飛び火する兆しを見せている。
大統領府は、今回の問題に慎重な態度だ。主務首席秘書官の文在寅(ムン・ジェイン)大統領民情首席秘書官や尹太瀛(ユン・テヨン)大統領府スポークスマンは、「司法部内のことについて、我々がとやかく言う立場にない」と口を固く閉ざした。
しかし大統領府内部は、連判状を作成した判事たちの主張に同調する雰囲気だ。すでに康錦實(カン・グムシル)法務長官が、従来の慣行どおり最高裁裁判官を提請しようとした最高裁判所の方針に反発して、最高裁裁判官提請諮問委員を辞退したことも、大統領府の見解から大きくはずれたことではない。
大統領府の悩みは、判事らの主張には心情的に同調しながらも、司法部との大衝突が避けられない最高裁裁判官提請拒否という「超強気のカード」を果して切るのかにあるようだ。
大統領の最高裁裁判官候補に対する任命拒否は、1958年に李承晩(イ・スンマン)元大統領が法官推薦委員会が提請した最高裁裁判官の候補に対して任命を拒否したのが唯一だ。
盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領が提請または任命拒否という行動に出る場合、ややもすると司法部の独立侵害という批判に直面するだけでなく、司法部との正面衝突を避けられないという負担もある。
特に、憲法に規定された最高裁裁判官の任命手続きが、「最高裁判所長官の提請→国会同意→大統領の任命」で、三権分立による牽制と均衡の原則が反映されており、国会で任命同意案が可決される場合、盧大統領がこれに反して任命を拒否することは容易ではない。法律的にも、大統領が任命拒否の権限を持っているのかという問題や、これまで最高裁裁判官の任命を事実上最高裁長官が主導してきた慣例も意識せざるを得ない。
大統領府が判事たちの主張に同調するような雰囲気であることに対して、最高裁判所は、憲法の三権分立の一つの軸である司法部の最高位職の人事を大統領府の意思によって変える場合、これは司法権の侵害や司法部の屈服として受け止められると考えている。
さらに、任期が2年しか残っていない崔鍾泳(チェ・チョンヨン)最高裁長官は、裁判能力を認められた候補者を選択する立場を固めているという。
大統領府内部では、司法部の改革が最優先課題ではないという見方もある。経済民生の懸案が多く、政治状況も混乱している状況で、司法部と全面戦争をすることが果たして望ましいかということだ。
実際に民情第二秘書官室が政府発足後、「司法制度改革」に関する検討案を作成したが、優先順位ではないという内部判断により、論議自体が成立しなかった。
したがって大統領府は、提請拒否の可能性を慎重に取り上げながらも、最高裁判所が現在の態度を変えて、判事らの主張を一部取り入れる折衷案を期待する雰囲気だ。
金正勳 丁偉用 jnghn@donga.com viyonz@donga.com