米トーク番組の女王オプラ・ウィンフリー、ニュース番組の人気キャスターダイアン・ソーヤー、世界的なソプラノ歌手ジェシー・ノーマン。彼女たちの共通点は子供がいないということ。およそ100人の成功した米国女性を調査した本、「人生の創造:専門職の女性と子供探し」が明らかにした事実だ。著者のシルビア・アン・ヒューレットが出した結論は、成功するほど子供を少なく持つしかないということだ。40歳を超えた専門職の女性3人のうち1人は「子供がいない方が人生をより楽しめる」としているが、職業と育児を両立できないから子供を生まなかったという理由に劣らず、働き盛りの時に仕事に没頭したあまり本人の意図や性的な能力とは関係なしに「出産スト」をするケースが多かった。すなわち、男性にとってはあまりにも当然なものと見做される仕事と家庭のバランスが、女性には選択、もしくは苦痛な問題になるということだ。
◆他の国の心配をするまでもない。それでも、米国では1980年代以降、米国がもたらした「社会的な自信感」のおかげで出産率が上がり、世界各地から移民が詰め掛けて来たことで「若いアメリカ」の活気があふれている。出産率の減少で「年老いた大陸」になる危機に瀕した欧州が手をこまねいてばかりいるはずがない。「2世の出産に責任持てない社会は罪を犯している社会だ」というフランスのジスカール・デスタン元大統領の言葉通り、新生児の歓迎手当てを与え、保育施設を完璧に作るなど子供の誕生を国を挙げて支援している。人口がすなわち国力であり希望なのだ。子供を生んで育てることが女性個人やその家庭だけの問題ではなく、国家と社会が責任を持って行うべき課題であることを皆が共感しているからだ。
◆韓国の出産率が世界最低水準を記録した。「世界最高」、「世界最低」など順位にわりかし敏感な韓国人も、この問題については非常に懸念しているようだ。このままでは23年からは人口が減り、人口の高齢化と労働人口の減少問題が深刻になると懸念されている。かつては、「子供二人産んで、よく育てよう」、「よく育てた一人娘、10人の息子に勝る」と言われていたのに、今では女性たちに子供をたくさん産めと督励している。まるで産みさえすれば、「彼女ら」が育てるかのように。
◆赤ん坊の愛らしさ、家庭の大切さを知らない人はどこにもいない。だが、出産休暇を終えるとすぐに子供を預けるところがなくて慌てふためき、妊娠すれば職場で自分の机がなくなりはしないかと不安に慄き、結婚すればしたで子供か自分の人生かをめぐってビッグ・ディールを余儀なくされるこの国の女性たちに、現在の出産奨励策は他人事のように思える。出産率が世界最低だとすれば、出産奨励策は世界最高でなければ実効性がない。国も、社会も、ひいては夫たる者も育児を母親だけに任せていては、今のような「出産スト」は日増しに深刻になるしかないのだ。
金順鄹(キム・スンドク)論説委員 yuri@donga.com