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[オピニオン]北朝鮮の子どもと女性の罠

[オピニオン]北朝鮮の子どもと女性の罠

Posted September. 14, 2003 23:21,   

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ある米国の長老ジャーナリストが北朝鮮を訪問した際、小学校の教室を見せてほしいと言った。この要請が受け入れられ、校長や通訳と共にある教室に入ったが、数十人の生徒が一様にノートに何かを熱心に書いているだけで、一人の生徒も誰が入ってきたのか頭をあげて見ようとしなかったという。恐らく訪問者に学習に没頭している姿を見せるように指示を受けたのだろうが、わずか9才程度の子どもがそのように好奇心を抑えることができるということが奇妙に(weird)感じられたと、そのジャーナリストは語った。

◆時折テレビで接する北朝鮮の姿を見ると、北朝鮮では4、5才にもならない幼稚園の園児にも俳優のように化粧をして、マイクを向ければ「米帝国主義を打倒する」、「我々は、英明な指導者同志に仕え、地上の楽園に暮している」という言葉をはばかりなく口にする。一方、数年前に曲芸団と共に来て、歌を歌った子供たちの愛嬌は、愛らしさを超えて身の毛のよだつものだった。この「主体(チュチェ)社会」の子供たちは、自らの主体性を形成することができず、サーカスの動物のように飼育士の命令に従って「主体性」を発揮するのではないだろうか。

◆昨年センセーションを巻き起こした美女応援団派遣は大成功だったが、美女たちの化粧が濃くて不自然だという一部韓国人の見解を考慮してか、今年は大学生で構成された化粧気のあまりない300人の新鮮な美女が派遣された。大多数の韓国人男性は、美貌を基準に特殊集団を選抜することがどれほど非民主的で非人間的なことか、その美女たちがいかなる使命を受けて派遣されたのか、そのようなことを考えることもなくただ彼女らの美貌に沸き返えったが、今年は「将軍様の写真が雨に濡れる」ことへの美女たちの涙の抗議で、彼女たちへの幻想がかなり崩れたようだ。

◆女性の美貌は競争力でもあるが、偏見と不利益の原因にもなり得、苛酷な弱点になることもあり得る。女性が自律的に自分の人生を営めることができない独裁体制下の抑圧社会では、何倍もそうだろう。美貌が単なる心理的な利点になる以上に、制度的な特権集団の加入資格になる社会は、徹底的な不平等社会であり、そのような社会で、美貌は逆に恐ろしい災いになりかねない。ある応援団員の「早く将軍様のもとに帰りたい」という言葉は、そのこともあって不吉な予感を与える。その女性の思いが「将軍様」に伝わって「将軍様」の格別の報いがあるのではないか。そのようなことがないことを望む。

徐之文(ソ・ジムン)客員論説委員(高麗大学教授)jimoon@korea.ac.kr