イラク戦争終結を正式宣言したあとも増えつづける米軍死傷者と相次ぐ報復テロ、そして高まりつつある反米世論…。
ブッシュ米政権の遂行したイラク戦争は、何が間違っていたのだろうか。
米時事週刊誌のタイムとニューズウィークの最新号(29日発行)は、ブッシュ大統領が今年5月1日、飛行服姿で空母リンカーンに降り立ち「主要戦闘はすべて終わった」と宣言して以来、5カ月ぶりにイラク戦をめぐる議論についての総合的な分析記事を載せた。
両誌は、イラクの戦後対策が「失敗」した原因に△イラク駐留米軍らの現地文化についての理解不足△米政府内の混線と判断錯誤などを選んだ。
▲政府内の混線〓イラク戦後の問題をめぐって、ホワイトハウス、国務省、国防総省などは相互協力のどころか、混線を繰り返した。
ホワイトハウスの場合、国防総省が1年前からおよそ200人以上のイラク人を動員、イラクの戦後問題について話し合うための実務グループを、戦争前から組織しておいたとの事実さえ把握できずにいた。こうしたなか、イラク戦後計画の不在について、議会でしっ責の声が高まると、ホワイトハウスのライス安保補佐官は、四つの実務グループを新たに設けた。しかし、ライス補佐官の実務グループは、イラク再建の費用を5000万〜6000万ドルへと、途方もなく低く策定する失策を演じたりもした。
ブッシュ大統領も、予備役将軍のガーナー氏にイラク戦後管理の責任を任せて、国防総省以外のラインは排除するような状況を招き、問題化すると行政官をイラク責任者に任命するなど一貫した原則を見せられなかった。
▲平和なしの終戦〓ブレマー行政官が5月の終戦直後、イラク軍を解散させ、数千人にのぼる兵士を無職とし、米国の(暫定的な)敵対勢力にしてしまったことも、失策として指摘される。現地の情緒に詳しい人物を治安維持兵力として活用すべきだという主張が、地元イラクの人々を中心に提起されたが、米国はこれを拒否したと言われる。
▲イラク文化や情緒に無知な米軍〓タイム誌によると、イラク人の情緒や文化を理解できない米兵士らの言行が、地元の反米感情をそそのかしている。
イラクの人々は「万が一、地元警察がイラク人を道で呼び止め、丁寧に何かへの協力を求めたならば、彼らは何でも協力する準備ができている。だが、米兵のように、声を高くあげて、イラク人のプライドを傷付けるなら、米国を憎悪せざるを得ない」と話している。同誌によると、米兵が一部地域で、サダム・フセイン時代の軍人らも自制していたイラク民間人らへの家宅捜索を敢行したのも、彼らを刺激したという。
▲戦後管理の無対策、ラムズフェルド長官の偏った人選〓ニューズウィークは地元関係者の話として、米軍政当局の総人員800人のうち、アラビア語を駆使できる人材は17人、イラク専門家は1人だけだと指摘した。
こうした専門家不足の状況は、ラムズフェルド国防長官の偏向性から始まったということ。国防総省は、イラク専門家20人のうち16人をバグダッド派遣者として選抜したが、ラムズフェルド長官は、彼らがアラブの立場に好意的な態度を示しているとの理由で、派遣人員を大幅に減らした。
パウエル米国務長官は、ラムズフェルド長官のこうした行動に触れ「どうして、こんな処理をしたのか」と抗議しており、アーミテージ米国務省副長官も、国防総省の関係者に対し「終日、逆さまのままでいるため、世の中をきちんと見ることができない『コウモリ』のようだ」と、酷評したという。
金正眼 credo@donga.com