日本の川口順子外相が6月にロシアを急遽訪問した。訪問先はモスクワではなく、極東のウラジオストク。会談の相手はイバノフ外相ではなく、フリステンコ経済副首相だった。
川口外相は、「ロシアがシベリア送油管路線を日本に有利な極東ラインに決定してくれれば、油田開発と送油管建設のために50億ドルを援助する」という破格的な申し出をした。
中国の胡錦濤主席が5月にモスクワを訪問し、中国路線のために17億ドルの援助を条件に出すと、焦った日本が川口外相を送り込んでさらに大きなカードを切り出したのだ。
当初、中国の構想によって始まり、05年には石油導入が始まる予定だったシベリア送油管建設事業は遅ればせながら参入した日本のために大混乱に陥った。いまだに路線も決定されていない状態だ。
日本と中国の猪突なプロポーズで、「幸せな悩み」に陥っているロシアは二つの路線を折衝したY字路線という代案を出したが、容易に決着がつきそうにない。限られた埋蔵量を考慮すれば、両国が供給を分けるより独占したほうが有利だからだ。
中国は1993年石油輸入国に転じ、石油輸入の80%を中東とアフリカ地域に依存している状態。日本もやはり、中東に対する輸入依存度が80%に達し、シベリア原油は両国にとって「オアシス」と同じである。
北東アジア諸国のエネルギー確保競争が、「銃声のない戦争」と呼ばれるほど日増しに激しくなってきている。
7日ウラジオストクでは、北東アジア地域の安定的なエネルギー確保のために国際協力を議論するセミナーが開かれた。世界最大のガス生産会社であるロシアのガスプロムと世界的なエネルギーメジャーであるロイヤル・ド・チセル、ブリティッシュ・ペトロリアム(BP)、韓国ガス公社など業界と学界の研究所などから国内外の関係者が集まった。
韓国ガス公社の金明男(キム・ミョンナム)対外事業室長は、「北東アジア国家間の葛藤がエネルギー協力の障害だ」と指摘した。エネルギー経済研究院の李サンゴン院長は、「北東アジア地域のエネルギー協力は選択の問題ではない」として、エネルギー開発をめぐるリーダーシップ争いを解決することを提案した。
国際エネルギー資本も、ロシアのエネルギー市場争奪戦に加勢している。エクソン・モービルはロシアの最大手石油会社であるユコスの持株40〜50%の買収を推進中である。専門家は、「ユコスがすでに今年上半期にロシア上位4位のシブネフティを併合して規模を大きくしたため、エクソン・モービルがユコス持株買収に成功すれば、世界最大エネルギーメジャーの位置付けを確固たるものにすることができる」と指摘した。これに先立って、BPもロシア上位3位の精油会社THKと合併し、BP−THKを誕生させた。
BP−THKは、韓国がロシア、中国と一緒に進めているコビクタガス田開発事業の主管会社であるロシアペトロリアム(RP)の大手株主だ。ユコスは中国と日本が激しい競争を繰り広げているシベリア油田の事業者だ。
万が一、日本の希望通りにシベリア送油管が極東のナホトカに引かれる場合、韓国もシベリア原油導入の可能性を窺うことができる。
金起顯 kimkihy@donga.com