盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領が悩んだ末に決定したイラク派兵は、約束どおり実践されなければならない。アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議出席のため機会がなかったが、盧大統領が、帰国後に国民に派兵の決定過程と必要性を直接説明すれば、派兵に対する国民的共感を高めることができるだろう。
派兵同意案処理の責任を負っている政界も、イラク派兵が国益に寄与できるように、適切な役割をしなければならない。そのような点で「精神的与党」である統合新党の代表が「慎重な決定と言えるか疑問だ」と述べたことは残念だ。与党であることを自任しながらも、政府決定に反対する一部世論を煽るような行動は納得しがたい。
まだ派兵規模が確定されていないが、イラク派兵は数千億ウォンをかけて、数千人の将兵を外国に送る重大な国事である。派兵が最大の成果を出すには、徹底的な準備が必要だ。政府が戦闘兵や工兵、医療支援団で構成された「総合部隊」を検討しているという知らせは鼓舞的だ。イラクに派遣されたソヒ・ジェマ部隊の成功例を教訓に、最適の部隊編成をしなければならない。
韓国軍がイラク人にどのように映るかも重要な問題だ。国連平和維持軍ではないものの、政府は国連の承認を受けた多国籍軍の一員として軍を送ることにした。イラクと中東国家に占領軍として戦争のために行くのではなく、治安維持と復興を助けるために、「イラク人の友」として行くということを積極的に伝えなければならない。韓国がイラク復興のために2億6000万ドルを支援することにした事実も、積極的に広報する必要がある。
ビン・ラディン氏と思われる人物が多国籍軍に対するテロを警告するなど、危険要素もある。イラク人との衝突予防や韓国軍の安全のための備えも徹底的にしなければならない。イラクに再び調査団を送って現地状況を正確に把握することも、不意の被害を最小限に抑える道だ。韓国軍の安全を確保して、彼らの苦労が無駄にならないようにする責任は政府にある。
派兵決定を一部国民と政治家は不満に思うかもしれないが、広い視野で受け入れる姿勢が必要だ。国論の分裂で、派遣される軍の士気を落とすことは慎まなければならない。すでに米国では、派兵が韓米同盟関係に肯定的に寄与するという分析が出ている。そのような付随的な效果ではなくとも、経済規模第12位の韓国が負わなければならない国際的責任と義務に背を向けてはいけない。派兵決定が下された以上、最善の選択は国論結集だ。