北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記が先月30日に、中国の呉邦国・全国人民代表大会常務委員長との平壌(ピョンヤン)会談で6者協議の再開に同意したで、北朝鮮核問題の解決に向けた国際社会の論議にまた弾みがつく見通しだ。
米国のブッシュ大統領が20日の韓米首脳会談で、「多者枠組みにおける対北朝鮮安全保証」案を提示し、10日後に北朝鮮がこれに呼応したことは、ひとまず肯定的な兆候だ。しかし次期6者協議を開くには、南北と米国、中国、ロシア、日本の参加国の間に事前の調整作業が必要だ。
何よりも次期6者協議に臨む米朝の立場には、依然として差がある。北朝鮮は、「6者協議が同時行動原則に基づいた一括妥結案を実現する過程ならば、6者協議に出席する用意がある」と明らかにしたが、米国は「北朝鮮が核廃棄に進展を見せることを前提にして、安全の保証の問題を検討する」という立場だ。
表面的には、どちらか一方が立場を和らげればうまくいくように見えるが、問題はそう簡単ではない。北朝鮮の一括妥結の方法は、北朝鮮と米国の要求事項をすべてテーブルに乗せて、容易なものから履行しようというものだ。これは米国の支援を受け入れた後、北朝鮮の核廃棄義務を始めるという意図であり、北朝鮮の核廃棄状況に合わせて安全を保証するという米国の方法とは距離がある。
また米朝間の根深い相互不信に照らしてみると、北朝鮮が米国に望む対北朝鮮経済制裁の緩和及び米朝外交関係の樹立と、米国が北朝鮮に望む核ミサイルなどの大量破壊兵器(WMD)計画の放棄に、接点を見出すことは容易ではなさそうだ。
にもかかわらず協議再開は、北朝鮮核問題が破局に進むことを阻止し、平和的解決を模索するという点で鼓舞的なことに違いない。
また、金総書記の中国訪問は、中国との関係改善を念頭に置いたもので、中国が憂慮する北朝鮮核問題の解決にも誠意を持って臨むことを示唆したものと考えられる。
金影植 spear@donga.com