▲集会デモで駆り出される警察〓全国民主労働組総連盟(民主労総)は9日、ソウル市庁前の広場などソウル市内各地で金属産業連盟、建設運輸労組、事務金融連盟、全国教職員労働組合(全教組)、全国言論労働組合(言論労組)など9の産業別労組員3万5000人余り(警察推算)の参加で「全国労働者大会」を開いた。
警察は同日、全国に保有している戦闘警察、義務警察の254個中隊(約3万人)のうちの128個中隊1万5000人余りを同大会の警備に投入した。
残りの126個中隊は、△米国関連施設と政党本部周辺など主要施設の警備(28個中隊)△核廃棄物処理場反対デモに備えて全羅北道扶安(チョルラブクト・プアン)に派遣(24個中隊)△国会、空港など日常的な警備(35個中隊)に配置された。残りの中隊は大半が前日の徹夜勤務で動員できなかった。
ソウルで「イラク派兵反対第2次国民大会」が開かれた先月25日にも、ソウル江南(カンナム)警察署防犯パトロール隊を除いたソウル市内31の警察署の防犯パトロール隊員全員が集会警備に投入された。
今年初めから反米デモ、貨物連隊スト、農業開放反対デモ、扶安地域の核廃棄物処理場反対デモなど、大型の社会・政治問題が相次いで発生し、固定的な警備需要が増えたため、民生治安に投入すべき警察力までこれらの警備活動に駆り出されている。
各警察署に1個中隊ずつ配置された防犯パトロール隊の基本任務は、民生治安を事前に予防することだ。しかし、これらの警備活動に動員される頻度が増えてからパトロールをする警察を見かけるのも珍しくなった。
▲早くも記録更新の凶悪犯罪〓「警察の助けを必要とする所に警官はいない」と、市民たちの不満が高まっている。
警察によると9月末現在、昨年同期間より殺人(4.2%)、強盗(32.7%)、強姦(5.7%)、窃盗(11.3%)、暴力(4%)など、各種犯罪が揃って増加している。とくに強盗の場合、今年に入って9月まで5912件が発生し、昨年の5906件をすでに上回っており、ここ10年間で最高を更新している。
警察庁の朴在鉉(パク・ジェヒョン)防犯企画課長は「いま目の前で行われている集会デモを防ぐために、防犯活動はどんどん後回しになっている」と話した。
▲警察の姿勢にも問題〓民生治安の不在という状況は、警察にも一定の責任があるというのが専門家たちの指摘だ。今年7月から10月にかけ、東大門(トンデムン)や南大門(ナムデムン)市場で夜遅く仕事を終えて明け方に帰宅する女性商人を相手にしたひったくり事件が29件も発生したが、警察は無関心で一貫していた。その後、マスコミが大々的に事件を報じてから、専従検挙班を編成するなど手遅れた対応が目立った。
とくに4月にソウル松坡区三田洞(ソンパグ・サムジョンドン)の一家族3人殺害事件をはじめ、今年は多数の殺人事件が起きたが、警察はいまだに解決できずにいる。
警察関係者は、「過去には凶悪事件が起きると警察トップが事件を直接チェックするなど犯人を検挙するまで警察全体が緊張を緩めなかったのだが、最近ではよほどの民生治安関連事件でない限り『どうってことない』という雰囲気だ」と話した。
李勳 dreamland@donga.com tesomiom@donga.com