盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領の側近不正疑惑を糾明するための特別検事(特検)法案が国会本会議で通過した。検察による捜査が進められている事案であるにもかかわらず、特検が動員される現実は決して望ましいことではない。捜査の結果を見届けてから不十分だと判断された際、特検カードを取り出すのが名分の上で正しかった。
しかし多数野党が合法的な手続きを踏んで特検を取り入れることにしたからには、大統領もこれを受け入れるのが筋だと思われる。大統領府とヨルリンウリ党は「検察がまともに捜査している」と強弁しているが、野党がその公正性に疑問を示し、相当数の国民がまたそのように思っているならば、特検を避ける理由はないと判断される。
重要なのはやはり真実である。前大統領府総務秘書官の崔導術(チェ・ドスル)容疑者の不正事件が明るみに出た際、大統領は「目の前がまっ暗だ」とし、国民に再信任を問うと述べた。大統領が再信任を問うほどの側近不正なら、一点の疑惑も残さず真相を突き止めなければならない。検察がこれまで崔容疑者の不正に関するいくつかのの真実を糾明したからといって、全ての疑惑が解消したと信じている国民は多くない。
李光宰(イ・クァンジェ)前大統領国政状況室長とサン&ムーングループの関係、梁吉承(ヤン・キルスン)前大統領付属室長の清州(チョンジュ)ナイトクラブ接待事件なども釈然としないのは同じである。昨年の大統領選挙当時、盧候補キャンプの大統領選挙資金に対しても、民主党は連日新しい疑惑を提起している。
大統領にしても、特検を通じてこうした疑惑を晴らした方が、かえって得になるかも知れない。そうでない場合、在任期間中に野党の攻勢の標的になって苦しめられるはずで、国政は方向を失って漂流することになるだろう。そうした事は、決して起きてはならない。
ハンナラ党も特検を取り入れることにしたからには検察捜査に積極的に協力すべきだ。特検を同党の大統領選挙資金不正のもみ消しや総選挙戦略の一環として利用しようとしては、国民が容認しないだろう。検察は今回の特検法に対して憲法裁判所に権限争議審判を請求する案を検討しているという。ハンナラ党は検察のこうした不信がどこから起因したのかについても振り返ってみなければならない。