人気絶頂の瞬間に財閥の一人息子と結婚したトップ・タレントのコ・ヒョンジョン氏が電撃的に離婚した。「財閥家長兄の嫁」から再び「万人の恋人」に帰ってきたわけだ。米ニューヨーク・ブロードウェイのミュージカル公演で偶然出会って交際を始めたというこの夫婦の「童話」のようなロマンスは結局、様々な憶測と噂の中で8年6カ月で幕を閉じた。「全て終わりがある」という彼女の最後のドラマとなった「砂時計」の結論と似ている。公式的な慰謝料は15億ウォンとされているが、夫の実家の財力に照らして首を傾ける人も少なくない。二人の子供の養育権は夫が持つことになったという。
◆1970年代には、離婚した夫婦の子供は男の実家で養育するのが常識だった。子供が別個の人格体というよりは家の代を引き継ぐ血筋だという家父長的な認識が強かったからだ。7歳の息子を一人で育てる離婚した父親の奮闘を描いて米国の観客の涙腺を刺激した映画「クレイマー、クレイマー」(1979)が韓国で興行に失敗したのは、そんな現実に実感を持てなかったからだ。離婚率が著しく目につくようになった1990年代に入っては、女性が子供の養育権だけは諦めないと踏ん張る代わりに、男性はむしろ身軽く再婚するために女性に養育権を押し付け始めた。
◆最近は、離婚した夫婦が互いに子供の養育権を押し付けようとするケースが増えている。家庭裁判所周辺には夫婦が互いに子供を養育しないとして子供をほっぽりだしてしまったために、突然迷子になった子供の痛々しい泣き声が鳴り響くこともある。先日、20代初めの夫婦が互いに子供を養育しないと主張したために、判事に厳しく咎められたこともあった。判事が結局、「母親が養育し、父親が養育費として収入の半分を仕送りするように」という和解勧告案を作成したが、それさえも拒否し、結局子供の外祖父が養育を受け持つと名乗り出て、ことが収まった。
◆米国では協議離婚の場合、ほぼ100%母親が子供の養育権を持つ。訴訟の場合は、父親と母親が子供を養育する割合が50対50ほど。どんな場合であれ、一緒に住めない親に義務的に会えるように配慮している。夫婦は別れれば他人になるが、親子の間柄は決して他人にはなれない。このため、離婚した夫婦でも子供に対する道理と責任を避けてはいけない。まかり間違えば、韓国のある没落した財閥のように離婚した妻が数年後、元夫の恋愛遍歴を一つ一つ暴いた本を出版して復讐することもありうる。結婚する男女の誓いに劣らず、離婚する男女の義務もまた重要な時代になった。
呉明哲(オ・ミョンチョル)論説委員 oscar@donga.com