側近不正疑惑における特別検事(特検)法案に対する盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領の拒否権行使期限を翌日に控えて、与・野党の対立が厳しさを増している。崔秉烈(チェ・ビョンリョル)ハンナラ党代表は大統領が拒否権を行使すれば国会再議を進めず、大統領との全面闘争に乗り出すことを明らかにした。
私たちはすでに本欄を通じて、大統領が特検法案を受容するのが筋であると指摘した。経緯はともかく、国会が在籍議員3分の2以上の絶対多数で法案を成立させたからには拒否する名分が弱い上、大統領が再信任を問うほどの側近不正であれば、特検に任せた方が捜査の公正性をめぐる是非を減らし、むしろ大統領の負担を軽減するだろうと思うからだ。大統領がもし拒否権行使を考慮しているならば、今からでも見直してほしい。
ハンナラ党の対応も正道であるとは言い難い。「拒否権を行使すれば直ちに本会議を開き再議に付する」と話しておいて、今になって再議さえ行わないとするのは説得力に欠ける。大統領に対しては国会の意思を尊重するように求めていながら、自分たちは憲法に定められている再議の手続きさえ無視して、場外に飛び出せば、それは自己矛盾であり、民主主義に対する否定に他ならない。
だからこそ(ハンナラ党の)変わった立場をめぐって様々な話が出ているのだ。ハンナラ党がもし新行政首都建設特別委員会設置案の否決による党内忠清(チュンチョン)地域議員と自民連の反発、民主党の特検反対の動きのため、再議を諦めるのであれば、非難されて当たり前だ。それほど自信のない特検法案であれば、そもそも持ち出さないのが正しかったはずだ。ハンナラ党は大統領が拒否権を行使すれば、堂々と再議に付すべきだ。それで再議決されれば特検をやって、否決されればやれないのだ。
大統領とハンナラ党は山積している国政懸案と民生に目を向けなければならない。イラク派兵、扶安(ブアン)事態など、どれひとつもまともに解決したものはないではないか。真っ先に来年の予算案処理が心配だ。国民をさらに不安にさせてはいけない。いったい、誰のための特検争いなのか。