政府が主管する大学入学試験で、出題の誤りで2つの正解が認められるという史上初の事態が発生した。修学能力試験(日本のセンター試験)の総体的な問題だけでなく、公教育の信頼度墜落や無責任かつ不透明な政府システムの問題点まで一気に噴出した格好だ。
大人の無能と無責任、モラルハザードのため、63万人の受験生に降りかかった混乱をどのように収拾するつもりなのか、心配せざるを得ない。まずは再採点を徹底して行って、当初の12月2日の成績通知日までに、日程が差し支えなく進められるようにしなければならない。
問題は二次的な混乱を最小限に抑える大事な役割を、これまで修学能力試験の管理を誤ってやってきた現在の韓国教育課程評価院が、果たしてまともに果たせるかどうかということだ。特に評価院長は、これまで予備校講師出身の出題委員選定や誤答の是非などについて「問題なし」というふうに安易に対処してきた。このたび、複数正解を認める場でも「この時点で辞退するのが責任ある行動かどうか分からない」と述べた。これでは、これからどうやって評価院の管理を信じて、修学能力試験を信頼しろというのか。
昨年同様、浪人生の強勢が予想される今回の修学能力試験は、公教育にのみ依存しては良い点数が得られないということをまた浮き彫りにした試験だった。それなのに試験直後、出題委員長は「高校教育の正常化に貢献すべきという大原則を考慮した」と強調した。出題委員らがどれほど公教育の実態とかけ離れているのかを分からせるところだ。政府は修学能力試験の出題管理を誤った評価院長の責任を厳重に問わなければならない。評価院への監督を引き受けている教育副首相と教育部も責任から逃れることはできないだろう。
もはや、修学能力試験の出題と管理のみならず、試験の性格や方法、制度のあり方そのものに対しても抜本的に見直さなければならない時点にきている。高建(コ・ゴン)首相が新設・運営を指示したという「修学能力試験改善企画団」のやるべきことがまさにこれである。政府は大学入試に運命をかけている受験生とその家族はもちろん、公教育の正常化や国の将来まで視野に入れて格別の対策を講じなければならない。