23日、イラク北部のモスルで、首を切られた米兵士2人の遺体が発見され、イラク人10数人がその遺体を車から引きずり出し、コンクリートブロックでたたく姿が目撃され、衝撃を与えている。しかし、兵士の死亡原因や首が切られた経緯などの真相が明らかにされず、議論を呼び起こしている。
▲無残な攻撃〓同日の事件は米第101空挺(くうてい)師団の兵士2人がモスル中心部を車で移動する途中、銃撃を受けて発生した。車が壁に衝突し、若者10数人が兵士を路面に引きずり出した後、コンクリート・ブロックで顔面などを強打していたと外信は報じている。
ロイター通信は、何者かが銃傷を受けた兵士を凶器で刺し、首を切ったと報道した。一方、AP通信は、10代の目撃者の証言を引用し、銃弾が兵士ひとりの頭を、もうひとりの首を貫通していたとし、首を切ったわけではないと報じるなど事件の過程に食い違いがある。
外信は、イラク人の若者らが兵士の遺体を激しく損傷させたうえ、車から武器やCD、軍用リュックサックなどを略奪したと伝えた。AP通信によると、ある10代の目撃者は兵士の遺体が1時間以上も車の隣に放置されていたと話したという。
米軍当局は、米兵士2人の死因が銃撃、衝突事故、凶器のうち何なのかはっきりしないとして、詳しい状況を明らかにしていない。米軍が事故現場に到着後、撮ったテレビ画面には、血まみれになって死亡した兵士の切断された足が映っていた。
▲反戦世論高まるか〓米当局は、兵士の負傷程度を詳しく公開しないのが方針だと主張している。しかし、これは遺体の無残な状態が知られた場合、米国内の反戦世論が高まることを懸念しているためだという声もある。今回の襲撃は、1993年9月ソマリアで国連平和維持軍として作戦中だった米軍ヘリのブラックホークが、武装勢力によって撃墜された後、ソマリア住民らが遺体を引きずって都心を行進していた場面を連想させるとAP通信は報じている。
ソマリアの衝撃的な場面がマスコミに報道され、自国での世論が悪化すると、当時のクリントン大統領は10月、武装軍閥アイディドを逮捕するために投入していた特殊精鋭部隊員をはじめ、翌年3月までに米軍を全面撤退させた。
▲モスルの安全悪化〓外信は、今回の事件が比較的安全と思われていたモスル地域で起きているのが異例だとしている。これまでモスルは、スンニ派が掌握したバグダッド北部と西部のように「反米暴力事態」はあまりなかった。特にモスルでは11月に入って米軍に向けた攻撃件数が急増し、ここでも抵抗勢力が拡散しているという懸念の声があがっている。モスルは最近まで韓国軍の有力なイラク派兵先とされていた地域だ。
一方、バグダッド北方のバクバでは、道路脇に仕掛けられた爆弾が爆発し、通過中の第4歩兵師団所属の米兵士1人が死亡した。これで5月1日のイラク戦争終戦宣言以来の米兵士の死亡者数は290人に増えた。
異鎭 leej@donga.com