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[オピニオン]「お願いだから殴らないで」

[オピニオン]「お願いだから殴らないで」

Posted November. 26, 2003 00:32,   

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ハリネズミも、全身に短い針が広がっていても、自分の子は可愛いと感じるものだ。小さな赤ちゃんであれ、すでに大きく成長した息子であれ、同様である。その可愛い顔に爪ほどの傷でもできると、母親の気にさわるものだ。「ちょっと気をつけなさい!」と厳しく叱っていても、傷あとが残ることを気にして、薬を渡したり、きちんとした食事を用意したりするなど、慌しく動き回る。ところが、なんの過ちもないのに、鉄パイプで顔を殴られ、数十カ所を針で縫うことになったとすれば…。歯も折れてご飯も食べられず、飢えているとしたら?大事にして育った我が息子なのに!驚いた母親は直ちにお粥などを作って息子のところを訪ねるはずだ。

◆警察病院のある医者がインターネットにアップした文章が、息子を持つ親たちを悲しませている。「核廃棄物処理場を白紙にもどすための汎扶安郡(プアングン)民対策委員会」のホームページにアップした「お願いだから、戦闘警察・機動警察の顔だけは殴らないでください」という文章だ。息子を軍隊に送った母親らは、悲しみを堪えることができずにいる。ネチズンの反応は「扶安住民らがもっと酷い目にあっている」という意見から「本当に戦うべき対象は政治をやっているXXらなのに、罪のない農民と戦闘警察と機動警察だけがケガしている」との指摘にいたるまで様々だ。明白なことは、文章を書いた医者が指摘したように、戦闘警察と機動警察らの大半は、デモ隊の人々の息子、孫、甥などにあたる若者だという事実である。デモ隊が鉄パイプで殴ったのは、軍隊に入隊した我が息子らの顔であり、国法と秩序の顔だった。

◆核廃棄物処理場に反対する扶安住民らの主張が分からないわけではない。デモを行っている途中、憤怒と敵がい心が相乗作用を起こし、さらに激しくなるに決まっている。群衆心理の最も顕著な特性が「破壊欲」だという。彼らにとって、盾で阻止している20歳前後の戦闘警察・機動警察が、あまりにも頑固な、そして「壊してしまうべき公権力」のように思われたかもしれない。双方ともに、手から鉄パイプをはなし、盾をはなしたまま会ったならば、暴力を使う理由など全くない関係だったにもかかわらず。

◆暴力は、さらなる暴力を産む。誰が先により多くの暴力を振るったかは重要でない。それぞれ、自身が酷い目にあったと信じているはずだ。暴力が憎悪と復しゅう心につながり、攻撃的な行動に出るようにするのは、自らを守るための遺伝子の「自然選択」でもある。「目には目を、歯に歯を」と限りなく続く「復しゅうの法則」を防ぐために人間が考案した制度が、法と原則だ。暴力では何も得られないという国民的共感はすでに形成されている。今日も、デモを繰り広げ、再び阻止する予定であるならば、いったん鉄パイプと盾を手からはなすようにしてほしい。そして、向かい合った相手の顔を見ながら考えてみるように。われわれが、果たして血を流しながら戦うべき敵なのかどうかについて。お願いだから、殴らないでください。