憲法裁判所(憲裁)の全員裁判部(主審:権誠裁判官)は27日「再信任を問う国民投票を行いたい」とした盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領の提案が憲法に反するとし、李万燮(イ・マンソプ)前国会議長らが出した3件の憲法訴訟事件で、裁判官9人のうち5人の意見で「憲法訴訟の対象にならない」とし却下決定を下した。これによって、盧大統領が先月、国会・施政演説で「再信任を問う国民投票を行い」との意向を示したことが、違憲なのかどうかについての憲裁の判断は下されなかった。
憲裁は、決定文で「憲法訴訟の対象になるためには、公権力の行使によって、憲法上の基本権の侵害を受けた人がいなければならない」とし「盧大統領の立場表明は、国民投票の公告などのように、法的効力のある行為ではなく、単なる政治的提案を表明したものにすぎないだけに、憲法訴訟の対象になる『公権力の行使』と見なせない」との見方を示した。
しかし、裁判官9人のうち4人は「大統領の国会発言が、憲法訴訟の対象になるだけでなく、国民投票を実施し大統領の再信任を問うことが違憲だ」との意見を示し、今後、盧大統領が再信任国民投票を実施し、類似の憲法訴訟が提起されれば、憲裁の違憲をめぐる判断に、相当な影響を及ぼすものとみられる。
「違憲」の意見を示した金栄一(キム・ヨンイル)裁判官ら4人は「大統領が国民投票の計画を国民の前で公表したのは、国民投票に関する単なる準備行為や政治的提案のレベルを越えて、国民投票を実施するという明白な意思を対外的に示したものであるだけに、公権力の行使にあたる」と指摘した。これら裁判官は、また「大統領が国民に再信任を問うことは、国民投票の対象を定めた憲法第72条の『重要政策』に含まれていないだけに、国民投票の形を通じて、自身についての再信任を確認しようとするのは、国民投票制を違憲的に使用するもの」と付け加えた。
憲裁のこの日の却下決定について、李前議長は「国政の混迷だけを加重させた無責任な決定」と批判した。
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