盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領は昨日、貿易の日の演説で韓国経済の課題を数多く取り上げた。労使関係の改善と規制緩和を通じた起業しやすい環境の造成、工場の海外移転を国内投資に回し、外国人投資をさらに誘致できる政策推進、働き口の創出、技術革新、主力産業への新技術応用を通じた高度化、次世代成長動力産業の育成、人材養成等など…。
しかし、政府の役目は、何をすべきだと並べるのではなく、具体的な手段を通じて迅速かつ有效に宿題を解決することだ。起業しやすくて、投資したくなる環境を現実のものにして、外国人も韓国を有利な投資先として判断できるように、実際の条件を構築するのが大事だ。
このためには政府の経済運用と意思決定システムを改める一方、人的問題として現在の経済政策チームを刷新して、新しくスタートしなければならない。新経済チームが経済政策の優先順位を確実に決め、政府の力量を集中しなければならない。名分にこだわって、成長潜在力の回復と相反する政策まで打ち出し、力を分散させて何もかもだめになるような状態に持ち込んではいけない。
経済副首相がいるものの、複雑に絡み合った経済懸案を調整するリーダーシップが不足しているせいなのか、各省庁はそれぞれ違う立場を示し、結果的にはお互いに足を引っ張るような状況が続いている。大統領府は政策室長、経済補佐官、政策首席秘書官の3人の経済関連参謀の3角体制で成り立っている。こういう状況なので、経済省庁が報告する相手は多い反面、調整機能はまともに働いていないため、仕事だけが増えて結論のない事例が少なくない。経済省庁を結集する求心点がなく、大統領府さえその中で再調整を繰り返しているから、急激な経済環境の変化と突発的な危機状況に適切に対応できずにいるのも無理ではない。
盧大統領は大統領府の経済参謀システムを整理して、経済担当首席秘書官を復活させる方法も積極的に検討してほしい。経済副首相と大統領経済担当首席秘書官が経済運用における主な責任を共有し、相互補完的な役割を果たしながら政策調整がスムーズに行われるようにすべきである。そうしてこそ、現在の問題を是正することができる。
とくに、経済副首相は経済政策の総責任者としての権限を最大限確保して、政策調整力と推進力が発揮できなければならない。このため、大統領は扱いやすい人ではなく、経済チームにおいて名実共に中心になりえる経綸と権威を持つ人物を経済副首相として選び「責任経済副首相」になれるようにする必要がある。