中国同胞の「国籍回復」問題が議論を呼んで、社会問題として頭をもたげている。
最近、外国人雇用許可制が実施されてから強制追放を避けようとする中国同胞5000人が集団で国籍回復を申請し、自分たちが国籍回復手続きで他の地域の同胞や外国人に比べて差別を受けていると主張している。
政府が中国との外交摩擦と労働市場の撹乱などを憂慮して、これといった解決策を見出せずにいるなか、9日強制追放を避けて道で寝ていた中国同胞がソウル都心で凍死したことに加え、国籍回復を申し込んだ中国同胞たちが中国に帰った後公安当局に逮捕される事態が起きている。
▲国籍回復の障壁〓中国同胞たちは政府の差別的な政策で、在米・在日同胞などに比べて国籍取得が事実上不可能だという点を問題視している。
法務部は中華人民共和国が樹立された1949年10月1日以前に生まれた中国同胞は国籍回復対象、その後に生まれた同胞は法的外国人である帰化の対象としてみている。
中国同胞は韓国でだけ国籍回復を申し込むことができる。この点が在外公館でも国籍回復申し込みができる在米・在日同胞と大きく異なる。また中国同胞は他の海外同胞と違って審査する前に事前審査手続きを踏まなければならない。
中華人民共和国樹立後に生まれた中国同胞は国籍法における「簡易帰化」の対象に当たる。簡易帰化は一般帰化に比べて帰化手続きが簡単だ。
しかし、この場合にも3年以上韓国に合法的に滞在した人にだけ資格が与えられる。したがって、親戚訪問目的で90日満期の短期滞在ビザで入国している多くの中国同胞には恩恵が与えられない。実際、国籍を取得した中国同胞の多くは、韓国人と結婚して2年が経って帰化許可を得た中国同胞の女性たちだ。
「3000万ウォン以上の預金残高証明や在職証明書を提出するなど国内で生計を立てられるということを証明しなければならない」という国籍法施行規則3条4項も帰化を妨げる差別条項だ。
また、国籍法施行規則第3条によって、簡易帰化の対象者は父親や母親の戸籍謄本や系図など親が韓国人だったという書類を提出しなければならないが、戦争中になくなった記録が多い。北朝鮮地域出身の中国同胞たちが帰化用の書類を取り揃えるのは不可能だ。
中国同胞たちは「私たちは自ら韓国国籍を捨てたことがない」とし「外国人である華僑も永住権を得てうまく暮らているのに、私たちは華僑よりひどい扱いを受けている」と主張している。
▲政府のジレンマ〓政府は中国同胞の国籍問題を「ホットな問題」とみている。
中国同胞200万人に国籍を与えたら、彼らは中国国籍をあきらめなければならないので、中国と外交摩擦が不可避だ。また、国籍を取得した中国同胞たちがいっぺんに入国すれば、生計型の労働者たちが働き口を奪われるなど労働市場の撹乱など副作用が発生することもある。
韓国労働研究院の柳吉相(ユ・ギルサン)先任研究委員は「中国同胞たちが我が国に大挙入国すれば、建設業やサービス業など韓国の低所得者層の働き口を奪う恐れが高い」と話した。
ソウル出入国管理事務所の文和春(ムン・ファニュン)調査3課長は「国籍申請をした中国同胞に国籍を与えたら、数十万人の中国同胞たちが韓国に入国してくるだろう」とし「中国同胞の国籍問題を感情的な側面だけからアプローチするのは困る」と話した。
しかし、経済正義実践市民連合の権泳俊(クォン・ヨンジュン)政策協議会議長は「求人難に苦しんでいる中小企業の業種に言葉が通じて、良い教育を受けた中国同胞たちが来ることはむしろ韓国に役立つだろう」と話した。
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