「ホホホホッ、コメディーだわ、コメディー」今年、話題の発言の一つにノミネートされた、康錦實(カン・クムシル)法務部長官の発言。与野党の議員たちが、大統領側近の不正疑惑と関連した特検法案の中に、捜査対象として記入する李ヨンロ氏の肩書を「後援会長の役割をしていたとしてマスコミに報じられた…」にするか「盧大統領の高校時代の先輩の…」にするかをめぐり、舌戦を展開している様子を見守っていて、笑いをこぼしたとか。劉仁種(リュ・インジョン)ソウル市教育監が宣戦布告した「学習塾との戦争」から1ヵ月経った。この間を見守ってきた私たちの心境も、康長官のそれとさほど変わらない。一月に1000万ウォンを超える、高額の学習塾を現場を突き止めれば、褒賞金として200万ウォンを支払うとしていたのに、結果は、取締りのために2930人を投入して、摘発されたのはたった2件だけ。それも、200万ウォン以上が1件、90万ウォン以上が1件だというから、ホホホ、コメディーだわ、コメディー。
◆「江南地域の学習塾特別取締り本部」が、確実に突き止めたものもある。夜10時以降の教習である。「深夜教習とともに、授業中に居眠りする生徒の数が減り、学校教育の正常化に向けた手がかりがつかめた」と、劉教育監は自負した。ところが、いざ受験生と父兄たちは「逃した時間」を惜しみながら、取締りが終わる3月10日を待ち焦がれている。第7次教育課程が本格化する来年の大学入試は、成績と戦略を兼ね備えて初めて合格が可能な「情報戦争」になると予想されている。学校では、こうした部分を満足させることができないというのに、戦略にたけた学習塾は、大事な時間を没収されてしまった。ここまでくれば、学習塾を取締るというのは、コメディーの枠を乗り越えて悲劇と化してしまう。
◆虎穴に入らずんば虎子を得ずということわざがある。本来、ソウル市教育庁が現実性に欠けた取締りで、不法な高額学習を根絶するとして、学習塾の密集地をひっくり返したことからが間違っていた。集中的な高額の学習塾がピークを成す修学能力試験(センター試験)が終わった後に取締りが始まったうえ、本当に高額の教習が行われるのは、学習塾ではなく、口コミで行われる個人教習や「小人数の小部屋」で行われるからだ。また、高額の学習塾で知られるところは、取締りのない京畿(キョンギ)地域に場所を移したり、深夜ではなく早朝に悠々と授業を行っている。泰山鳴動鼠一匹という言葉があるが、虎を捕まえようとして、辛うじてネズミを捕った様である。
◆コメディーも、笑いによってカタルシスをもたらす文化芸術である。ギリシャの哲学者ヘラクレイトスが「笑いものになるほど笑わせてはならない」としたように「学習塾との戦争」は、コメディーにもならないというところに問題がある。教育庁の役目は、学校教育の質を高めることによって公教育を正常化することである。ところが、1ヵ月間2億5000万ウォンものカネを費やして学習塾の取締りにあたっているから、おかどちがいも甚だしいと言わざるをえない。学習塾は、高額の個人教習をさせることができない一般市民たちの、唯一の学習代案でもある。公教育が画期的に改善されない限り、個人教習は決してなくならないという自明の理を、何ゆえ教育庁の人たちだけが知らないというのだろうか。
金順鄹(キム・スンドク)論説委員 yuri@donga.com