「参加国すべてがムチとアメを使い分ける6者協議が、現在としてはベストだ」。
ワシントンの執務室で会ったホワイトハウス当局者は「北朝鮮と公式的な両者会談に臨む際、米国が持つ『テコの力(leverage・政策手段)』は軍事措置しかない。良いオプションではない」とし、このように話した。同当局者は「北朝鮮が核を放棄するだろうと考えているのか」との質問には、非常に用心深い反応を見せた。
—対北朝鮮政策の原則について説明してほしい。
「状況は変わったが、根本的な戦略が変わったわけではない。以前、米国は北朝鮮と対話する準備ができていたが、米朝二国間会談は順調に進まなかった。米朝間の枠組み合意(Agreed Framework)は守られなかった。二国間会談だけを行うとすれば、米国のテコの力は軍事措置だ。これは、良いオプションではない」
—最終的に目指すものと対北朝鮮インセンティブは何か。
「完全かつ検証可能で、復旧できない核廃棄(CVID・Complete,Verifiable,Irreversible,Dismantle)だ。北朝鮮がこれを実行すれば、北朝鮮の懸念を解消できる『可能性』についても話し合うことができる。北朝鮮の体制安全を保障する問題は、交渉過程の早い時点でも可能だ。エネルギー援助はもう少し後で、進展があれば可能だ。米国を含めた関係諸国との国交正常化、平和協定の締結なども可能だ。しかし、こうした目標点に到達するためには『北朝鮮の核』という扉が先に開けられなければならない」
—一部では、会談が行われている間にも、北朝鮮が核を開発していると疑っている。米政府の立場は…。
「これまで北朝鮮は、核とともに他の良いもの、例えば韓国との関係改善、中国の援助、米国との外交正常化を、同時に取ることができると考えてきた。しかし、北朝鮮は6者協議で『ニ者択一』をしなければならない。米国だけで、北朝鮮に二者択一を強いることはできない。参加国全てがともに臨むまでは、結果はわからない。万が一、北朝鮮がこれを拒否し、核開発を続けた場合、われわれは『他のオプション』を考慮してみなければならないだろう。しかし、まだそこまで話す段階ではない」