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不惑の年で演じる「エクウス」

Posted January. 12, 2004 23:26,   

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先日、ソウルの大学路(テハクロ)にある演劇稽古場を訪れた時、俳優のチョ・ジェヒョン(39)さんはちょうど遅い昼食を食べていた。稽古場の隅に置かれたテーブルでずるずるとチャンポンをすすっていた彼は、私を見ると「一緒にどうですか」と勧めた。テレビやスクリーンで見る強烈なカリスマの代わりに、どこででも見かけられる普通のおじさんのような地味な姿が第一印象だった。しかし、インタビューを始めると、その眼差しからは熱い情熱が感じられた。「おじさん俳優」チョ・ジェヒョンはいつのまにか「エクウス」の「17歳の少年」アランになったいた。

▲17歳の少年役を演じるための体力訓練

チョ・ジェヒョンさんは29日に幕を上げる劇団実験劇場の「エクウス」で主人公のアランを演じる。1990年末から1991年まで8ヵ月間続いた公演でも彼はアランだった。25歳の溢れるエネルギーでファンを魅了していた彼は、今度は不惑に近い年で再び少年アランとして舞台に立つ。

「情熱から言えば、14年前のがむしろ中年に近かったと思います。あの時は家に2歳の息子(スフン君)がいましたから。早く家に帰りたくて稽古している間もよく時計を見ていましたね。でも、今は若い時の感受性と意欲が蘇ったような気分です。ただ、時間の跡が消せないのは身体です。体力が落ちて。」

そのため、彼は最近、ソウル平倉洞(ピョンチャンドン)の自宅から惠化洞(ヘファドン)の稽古場まで走って通っている。毎日30〜40分を走って体力をつけているのだ。

▲「緩むのがいやで舞台に立つ」

39歳で17歳の少年役に挑戦するのは一種の冒険。1990年、彼は単なる見込みのある若い俳優に過ぎなかったが、今はテレビとスクリーンにはっきり根付いたスターになっている。彼の言葉通り「今回の公演はうまくやって元々」かもしれない。いったい何が彼をこんな冒険に導いたのか。

「演劇は本当につらい作業です。映画やテレビは失敗したら撮り直せばいいですが、演劇は幕を上げる前に、最高の状態を作ってから始めます。舞台はうそをつきません。俳優が演技をしていると、ただ楽にやっていきたい時があります。このごろがそういう時期です。しかし、私は緊張の緩むことがきらいなんです。最近は、稽古をしている時も緊張して震えたりします。不思議にもその震えがとても楽しいです」

▲「エクウスの初回に覇気を見せる」

彼にとってアランはぜひもう一度挑戦したい役だった。舞台の醍醐味を教えてくれた役だったからだ。何回も機会を狙った末、やっとアランになれた。

「40歳近くで少年アランを演じるのが、ある意味では80歳の老人役をするより真実味があるかもしれません。過去の記憶からその人物を引き出すことができるから。だから、演技には自信がありますが、観客がどう受け止めるかが問題です。」

何気なく話していたが、彼の感じるプレッシャーは重たそうに見えた。彼は「台詞を忘れてあたふたする夢を見たこともあります」と話した。

「俳優を演劇俳優、タレント、映画俳優に区分するのはいやです。私はただ演技をする人であるだけ。しかし、演劇には他のジャンルとは違う点があります。それは観客との呼吸です。」

それだけに「新しいアラン」に会いに大勢の観客が劇場を訪れることを彼は願っている。



朱性元  swon@donga.com