外交部調査、大統領の得になることはない。
大統領民情首席秘書官室の外交通商部調査が残した後味は苦い。盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領と関連した「問題発言」が、決定的なきっかけになったことが明らかになったためだ。外交部関係者の職務関連情報の流出、国家安全保障会議(NSC)と外交部の見解の相違を扱った記事なども調査のきっかけに掲げられているが、こじつけという感を拭えない。
何よりも発言者を探し出すための過程が憂慮を抱かせる。大統領府の尹太瀛(ユン・テヨン)報道官は昨日、「見過ごせない不適切な発言があった」と言うだけで、具体的な内容を明らかにせず、「まだ大統領に報告していない」と言った。それだけ急を要する内容ではないという証拠ではないのか。大統領府は、「問題発言」が外交部公職者約10人に対して大々的に調査するほど深刻な内容だったのかを明らかにしなければならない。
無論、公務員の言行は慎重でなければならない。政府も公職綱紀を正す責任がある。しかし、公務員が不適切なことを言ったとしても、政府の対応は適切でなければならない。大統領に関係することだといって、私的な席で軽い気持ちで言った言葉まで問題視するなら、国民の眼には表現の自由への行き過ぎた制約としかうつらない。
先日、盧大統領の私生活のうわさをしたという理由で、警察庁特殊捜査科の警察官が待機発令を受けた。盲目的な忠誠心で、あるいは公職者たちの批判を抑えるために、政府が大統領関連発言に過度な対応をしているなら、ただ事ではない。
大統領府の外交部調査に、NSCが一定の役割をしたことも憂慮されることだ。これではスムーズでない両者の関係を改善することは難しい。大統領府は、公務員の私的な席での発言よりは、外交の両軸であるNSCと外交部の葛藤の解消に、より関心を傾けなければならない。