42.5kg。1人の女性の体重と同じぐらいのバーベルがリズム体操に使われるこん棒のように踊っている。誰もがバーベルを両手に1つずつ上げている。女性2人を同時に上げているのと等しい。
レスリング選手のバーベルの上げ方は変わっている。ウェート・リフティングのようにまっすぐ上げるわけではなく、腕を内側から外側へ、また、外側から内側へ力強くねじって、瞬く間に上げたり、下げたりする。上体のねじる力を強くするためだ。そのためか、数人の選手が同時にバーベル体操をし、普通の踊りなみのすごい場面が演出される。
こんな彼らにとって、はるかに高い20mのロープ上りも簡単なことである。体重を支えるため、ロープを脚にかける必要もない。腕の力さえあれば十分。レスリングを始めたばかりの女性選手の動きも大したものだ。
泰陵(テルン)選手村のウェートトレーニングセンターである月桂冠の20日の光景。旧暦のお正月を控えているのに、休みを返上し、練習に励んでいる選手たちの熱気は熱い。
氷点下10度に迫る酷寒のため、室内でも息が白く出るほど。しかし、上着を脱いでいる選手たちの体には汗が出ている。お正月になると、故郷へ戻り、両親に新年のあいさつをしたり、恋人とのデートを楽しんだりするが、それは他人事だ。レスリング金メダル候補である金インソブ(グレコローマン・スタイル66kg級)選手の故郷は大邱(デグ)、文ウィジェ(フリースタイル83kg級)選手は大田(デジョン)であるが、電話で新年のあいさつをしただけ。アテネオリンピックまであと206日。1秒でも惜しい。
お正月の連休にも選手村で訓練を続ける選手たちはレスリング、柔道、ウェートリフティング、バドミントン、陸上、水泳、スケートの7種目、126人。他の種目の選手もほとんどがお正月当日の翌日である23日には選手村に戻る。
連休が明けると、オリンピックへの出場権がかかった国際試合が相次いで行われる。レスリングの場合、フリースタイル選手団が27日、スロバキアのブラティスラバで開かれるオリンピック地域予選に出場する。柔道は男性が2月3日からパリとハンガリー・オープン戦に、女性は2月17日からハンブルク・オープン戦に出場する。陸上、水泳、スケートなど他の種目も転地訓練など細部日程が決められている。
アテネオリンピックに向けた熱情を燃やしている韓国国家代表選手。彼らにはお正月すらない。
張桓壽 zangpabo@donga.com