セマングム工事執行停止仮処分が抗告審で覆されたことで、6ヵ月間中断されていた防潮堤工事が再開できるようになった。全体防潮堤33kmのうち30.3km(91.8%)の止水壁工事が終わった状況で、工事中止仮処分決定が下されため、13年間進められてきた国策事業に大きな混乱が生じたのは事実だ。今の状態で工事を中断するわけにはいかないという現実論に根拠を置いたソウル高裁の決定は、1審の仮処分によって招かれた混乱を収拾する上で役立つだろう。
抗告審で裁判所は、工事中断による公共利益の損害が大きなことに対して、工事継続によって環境がどれほど侵害されるか明確でないと明らかにした。合理的な判断だと思われる。ここで工事を中断した場合、防潮堤の土石が流出し環境災害をもたらすばかりか、補強工事に莫大な費用がかかるしかない。
訴訟を主導した環境団体はセマングム事業が環境にやさしい方向で終るように協力しなければならない。司法部の審判を求めておきながら、裁判所の決定をものともせず国策事業を妨害しようとするのは正しくない。環境毀損の憂慮があれば、工事を立案する段階で意見を提示しなければならなかった。京釜(キョンブ)高速鉄道、セマングム、首都圏環状高速道路工事のように長年進められた国策事業に、最後の段階で歯止めをかけようとする闘い方は控えるべきである。
農林部と全羅北道(チョルラブクド)は汝矣島(ヨイド)面積の140倍の広さの土地をどんな用途で使うかで悩まなければならない。そもそもセマングム事業は大規模なコメの生産基地を確保する目的でスタートしたが、今はコメが余っている。また世界貿易機関(WHO)の規定によって毎年コメの輸入量を増やさなければならない。環境被害を最小限に止めつつ、広闊な新しい土地の適切な活用計画を樹立するのがセマングムの開発主体に残された課題である。