◆インターネット時代の便利な点の一つが、過去の新聞を簡単に見ることができるという点だ。「落選運動」という検索語で2000年第16代総選の新聞を検索すると、数百件の記事がヒットしたが、なかでも4つの記事が目に入った。金大中(キム・デジュン)前大統領は、「国民の意思」、「時代の流れ」などの表現を使い、この運動を法で規制してはいけないと語った。「4・19や6月抗争は違法だったが、国民の意思によって正当性が認められた。市民団体のこのような運動は、かなり以前からあった…。マクロ的に見なければならない」。金前大統領の発言だ。
◆金玉斗(キム・オクトゥ)当時民主党事務総長は、総選連帯が出した名簿を候補の公認に積極的に反映すると表明した。これにハンナラ党と自民連が反発し、「運動を主導する市民団体所属の人物の相当数が民主党に深く関係した」と批判するや、総選連帯と民主党は「でたらめだ」と反ばくした。金寿煥(キム・スファン)枢機卿は、「大統領は、民主党が多数党かどうかにこだわらず、公明な選挙を行わなければならない」と述べ、大統領に「心を無にする」ように注文した。
◆以上の4つの記事で名前だけ数箇所変えれば、4年前と今が別段変わらないことが容易に見て取れる。大統領と与党は落選運動を楽しみ、野党は反発し、枢機卿は相も変らず憂慮している。しかし重要な違いを2つ見逃してはいけない。与党から野党に墜落したため、落選運動の対象になってしまった民主党が、この運動に対する立場を変えたという点と、今度は市民団体を僭称する盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領の支持グループまで運動に加わり、以前よりも状況がかなり混濁しているという点だ。
◆民主党の運命を見ていると、ブーメランが想起される。これはオーストラリアの原住民が使った狩猟道具で、投げれば目標物に当たってもとの場所に戻ってくる武器だ。慣れずに使えば自分が怪我をするかもしれない道具でもある。4年前、民主党は落薦・落選運動がこのような武器になるとは思っても見なかっただろう。この点は4年後のヨルリン・ウリ党にも当てはまる言葉だ。一寸先も闇の困難な韓国政治で4年後を心配するのは、世情にうとい学者の杞憂かもしれないが。
金イルヨン客員論説委員(成均館大学教授、政治学)iykim@skku.edu