ちょうど2年前の02年2月12日。オランダのハーグに設けられた旧ユーゴ国際戦犯法廷(ICTY)で「バルカンの屠殺者」と呼ばれるスロボダン・ミロシェビッチ前ユーゴ連邦大統領(62)の裁判が始まった。ミロシェビッチは1990年代に20万人の死亡者と300万人の難民が発生したバルカン戦争の戦犯。「大セルビア主義」を掲げて連邦内のアルバニア系に対する「民族浄化」を行った疑いもかけられている。
◆裁判は今月19日になってやっと検察側の論考が行われるほどずるずる引き延ばしになっている。ミロシェビッチが華やかな話術と遅延戦術で法廷を篭絡しているからだ。彼は裁判で「私は狂乱の国粋主義を打破しようとしたが、西側の分裂策動のために成し遂げられなかった真の平和主義者」と主張している。アルバニア系を弾圧した理由は、「オサマ・ビンラディンがアルバニアを訪問し、アルバニア系が多いコソボでアル・カイダ隊員を派遣した証拠がある」と強く主張したりした。自身がブッシュ米大統領よりも先に、「テロとの戦争」を行ったという。
◆ミロシェビッチは裁判の実況が30分の時差でセルビアで生中継されるということを悪用して、巧妙にセルビア民族主義に火をつけている。「弁護士もないまま、単身出席したミロシェビッチが検察側の証人を論駁するたびに、セルビアでは賛辞が発せられる」と外電は伝えた。彼が裁判で「西欧側の操り人形」と詰ったゾラン・ジンジッチ前首相は、ミロシェビッチの追従勢力によって暗殺された。昨年12月のセルビア総選挙では極右派が勝利し、ミロシェビチは獄中当選までした。
◆独裁者をその座から蹴落とすことの他に、後始末がどれだけ大切なのかを見せてくれた例である。遠からず始まるであろうサダム・フセイン前イラク大統領の裁判でも注視すべきところだ。フランス最大手の時事週刊誌「ヌーベル・オブセルヴァトゥール」は2000年新年号で世界の6大独裁者を選定し、彼らが21世紀を迎えて国際裁判を受けるという仮想記事を掲載した。この記事でフセインは独裁者3位。ミロシェビッチは5位として裁判を受ける。当時二人とも健在していたのだから、仮想記事が現実になったわけだ。この記事で彼らより上手の2位として裁判を受ける独裁者は、北朝鮮の金正日(キム・チョンイル)国防委員長だった。
パリ=朴済均(パク・ジェギュン)特派員 phark@donga.com