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「南極にも春は来る」

Posted February. 13, 2004 23:31,   

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『南極探検の夢』

チャン・スングン著/320ページ/2万5000ウォン/サイエンス・ブックス

南米大陸南端から南へ900kmの距離にある南極大陸サウス・シェトランド諸島のキング・ジョージ島。ここに位置する世宗(セジョン)基地は昨年12月、若い科学者全在奎(チョン・ジェギュ)氏の命を奪った事故で国民の関心を集めた。

世宗基地は今月17日で建設16周年を迎える。同日、天気がよければ、キング・ジョージ島に位置するチリ、ブラジル、ポーランドなど8カ国9基地の外国隊員を招待して、小さなパーティを開く計画だ。彼らは厳しい自然にも南極の驚異と無限の可能性に魅了されて暮らしている人だという共通点を持っている。

同書は世宗基地を中心に南極を歩き回る彼らの夢と冒険、発見の喜びと危険な日々を記録した本である。

著者チャン・スングン博士は1987年、世宗基地建設候補地調査活動に参加したことを皮切りに、翌年の基地完工後、第1次越冬調査隊長を務めた。その後何度か越冬隊長を務め、北極の茶山(タサン)基地と南極の世宗基地を行き来しながら、極地研究に没頭してきた科学者である。

●南極の人間と自然

チャン博士は南極発見時の人々を紹介することから本を書き出した。

1819年から翌年にかけ、船に乗って目につく全ての土地に「英国の土地」を宣言したエドワード・ブランスフィールド英国海軍大尉。英国の探検家でオットセイ狩りに熱中していたウィリアム・スミス船長。南極の流氷に船を取り囲まれたが、最後の最後まで忍耐を重ねて生還したシェークルトン探検隊などがそれである。

だが、彼らが訪れる前から南極には数多くの生物が住んでいた。奇形的というほど鼻が大きいフイリアザラシ。フイリアザラシのメスが出産した直後に現れてその胎盤を突っつく白い南極鳩(ユキドリ)。冷たい雪の中でもおかしなほどよく育つ苔の雪藻類など。

だが、南極を織り成す最も大きな要素は「氷」だ。流氷は自然が作り出した彫刻作品だと言える。

「机、家、城、自動車、独立門、蝶、恐竜にそっくりなものが目につき、驚かされるばかりだ。(…)氷は神秘な音で歌ったりもするし、『クァカカカン』というごう音といっしょに壮大に崩壊したりする。冬になると世宗基地周辺の水面は氷の種ができて白く濁ってどろどろする。次に手の平ほどの大きさの丸々とした「ホットケーキーの氷」が無数にでき、海が本格的に凍り始める」

●氷原の世宗基地、夢と冒険の城

チャン博士は知られざる世宗基地の生活についても多彩な話を聞かせてくれる。その一つが「局地封筒」に関することだ。

「毎年各基地の越冬隊員たちは新しい記念スタンプを持ってきて文書作成に使う。(…)これを知った各国の「局地封筒コレクター」は返送用封筒まで入れた手紙を送ってきて、記念スタンプを押して返送してほしいと言ってくる。世宗基地に配達される外国人の手紙の中には出鱈目なハングルの綴りであるが、余りにも切実な内容で、断りきれないものが大半だ」

一寸先も見えない吹雪の中を航海し、遭難直前までいった危機の瞬間。1989年アルゼンチンの大型船舶バイア・パライソ号が沈没したので救出に行ったこと。白い氷原でサッカーをしたり、狩りをして獲ってきたアザラシで「アザラシ汁」を料理して食べたことなどが手に取るように生き生きと記録されている。

だが、昨年12月の事故でも明らかになったように、世宗基地の現実は碎氷船一隻さえも整えられていない状況だ。チャン博士はこうした現実を故意に強調するよりは、ユーモアに満ちた文の中で静かに綴っている。さらに未来の韓国の南極基地が解決すべき課題も意欲的に提示している。「もはや第2の南極基地を設け、厚さ4000mの氷原も掘削すべき時だ。氷原の下に隠された湖の水と砂を採集して、絶滅した古生物も研究しなければならない」と。



權基太 kkt@donga.com