京畿道抱川(キョンギド・ポチョン)の女子中学生殺人事件をはじめ、最近、全国で類似の事件が相次ぎ、警察は迷子・行方不明者を捜すため、大々的な捜索を繰り広げている。しかし、一線の警察官らは「人員と効率性を考慮に入れないイベント性の強い対策だ」と不満をつのらせている。イベント性の強い対策ではなく、制度の改善を通じた根本的な対策が切にもとめられているという主張だ。
▲イベント性の強い一斉捜索〓ソウル地方警察庁は最近、一線の警察署に「マスコミと協力して、救助犬を動員した精密捜索作業のシーンを積極的に広報する」という指示を出した。
同対策によると、警察は行方不明者の申し出があれば、直ちに巡察地区の警察と女性青少年系、刑事系、レスキュー隊を動員して不審地域を捜索するということだ。問題は、このようなイベント性の強い捜索作業は、犯人の検挙や行方不明者を捜すのには実際まったく役に立たないという点だ。
一線の警察官らは「最近、このようなイベント性の対策が多くなった」としながら、「イベントの一環として捜索をすることは、ただでさえ不足している一線警察署の警察官に一層負担をかけることだ」と指摘した。
また、1週間という期間を決めて「捜索を実施する」と公表する方式が果たして効果があるかどうかも未知数だ。一斉捜索事実が知られたら、該当期間(1週間)の犯罪予防効果はあるだろう。
しかし、行方不明となった子供たちを不法保護している未申告施設や、その子供らに「もの乞い」をさせている犯人には、むしろ逃亡の機会を提供する可能性も高い。
▲根本的対策の確立が必要〓省庁間の協調も行われていない。現在、保健福祉部は未申告施設を含め、子供と青少年収用施設を1200ヶ所と把握している一方、警察は3000ヶ所と把握している。行方不明となった児童や青少年を発見する可能性が最も高い所は未申告施設だ。しかし、この2つの主要所轄部署は、基本的な施設数ですら、意見の一致を見ていない。
このような状況であるため、未申告施設の点検はもちろん、施設に収用された子供たちの電算登録など、より根本的な対策も難しい状況だ。
また、警察内担当部署の法的根拠も曖昧な部分が多い。現在、迷子・行方不明事件を担当する警察部署は女性青少年課。しかし、同部署は公務員組織法には存在しない「幽霊部署」だ。20年2月、女性及び児童関連治安の需要が増加し、警察が臨時の組織として作ったが、まだ行政自治部から正式承認を得ていない状態だ。
法的には存在しない部署だから、人員の補充が根本的に不可能な状態だ。現在の女性青少年課は、他の業務を担当している警察官を兼任で活用している状況だから、職員の使命感や専門性は期待できない。
警察庁の李錦炯(イ・クムヒョン)女性青少年課長は「迷子・行方不明事件に対し、これまで関連部署との緊密な協力が不足していたのは事実だ」とし、「これに対する対策を今準備している」と語った。
李完培 roryrery@donga.com podragon@donga.com