18日行われた2006W杯ドイツ大会アジア2次予選のレバノン戦で決勝ゴールを決めた車(チャ)ドゥリ(フランクフルト、24)は、ゲーム終了のホイッスルが鳴ると、インタビューも断ってロッカールームに引き上げ、独りで涙をにじませた。
1m83、75kgのがっしりとした体格に坊主頭。ピッチでは暴走機関車のように疾走することから、ニックネームは「人間兵器」だ。
その車ドゥリがなぜ涙を見せたのか。それは、韓国代表チームで1年10ヵ月ぶりに入れたこのゴールによって、これまで付きまとってきたあらゆる誹謗を一気に払い飛ばせたうれしさからだった。
ヒディング前代表監督が「2006ドイツ大会で活躍する有望な選手」と褒め称えていた車ドゥリだが、これまで厳しい批評に悩まされてきた。「ウソ砲」、「永遠な有望株」、「父の車ボムグン氏の七光りで代表チームに入れた」など皮肉が絶えなかった。
ところが、車ドゥリは自分の生まれ故郷のドイツで先進サッカーを身に付け、見違えるほど立派な選手になった。ドイツに進出して2年で、父が華麗な選手生活を送ったフランクフルトに定着し、今年はレギュラー・ストライカーのポジションまで手に入れた。
フランクフルトは車ドゥリの故郷。周りの助けも得て、図体の大きいドイツ選手たちとぶつかり合いながら、一つ一つ技術を覚え、飛翔の日に備えてきた。
専門家たちはレバノン戦で車ドゥリが決めたゴールに重要な意味を付与している。李容秀(イ・ヨンス)KBS解説委員(世宗大学教授)は「車ドゥリが一段と成熟できる刺激剤になったゴールだ。彼はこれで上昇軌道に乗った」と評価した。
車ドゥリはまだインタビューを避けている。言葉より行動で示すという意志の表現なのだ。その彼が19日、ドイツに出発するとき、一度だけ口を開いた。「身体に力が入りすぎてクロスがうまくできず、自分が試合の流れを切ったような気がする」。ゴールを入れたうれしさに浸るよりは反省している姿から、車の大成の可能性が窺がえる。
梁鍾久 yjongk@donga.com