「普段、血圧など問題にならないほど元気だったのに、入院されたと聞いて全部自分のせいのような気がした。練習が終わったら、安否の電話をしたい」
20日午前、監督になり立ての申英哲(シン・ヨンチョル、41)監督は気が抜けたようだった。
17日、LG火災の監督として電撃抜擢された申英哲監督は、息を抜くひまもなく、18日から選手らと猛練習に入った。足元の大田(テジョン)ツアー(5次)で成績が出せなかった場合、プレーオフ進出が危ぶまれる状況にあるため。選手たちとの顔合わせ会を兼ねた食事会もまだない。
何もかもが針のむしろ。そこに舞い込んだ「一生の師匠」申致容(シン・チヨン、49)三星(サムスン)火災監督の入院の知らせは申英哲監督を当惑させるものだった。
18日午前、挨拶のために「実家」の三星火災の練習場を訪れたとき、師匠の残した言葉が今も聞こえるように鮮烈なのに入院とは…。「指導者は孤独なもんだ。強くならないと」と何度も強調していた。
「まだ数日しか経っていないが、監督というのがいかに難しいポストなのかを実感している。先生はその重荷を9年も独りで背負ってこられたから、どんなに辛かったろうか。自分の子を生んではじめて親の心が分かるというが、申し訳ない気持ちでいっぱいだ」。
しかし、既に我が道を選んだのだから、振り返ることはできない。17年間選手として、またコーチとして申致容監督に指導される立場だったが、これからはライバルとして向き会わなければならない運命だ。
現在、LG火災は最悪の状況にある。4次ツアーまで一度だけベスト4に入った不振な成績で5位(勝ち点7)。首位の三星火災(勝ち点32)と2位の現代(ヒョンデ)キャピタル(勝ち点11)がベスト4入りを固めた中、大韓(テハン)航空(勝ち点9)、尚武(サンム、勝ち点11)と紙一重の勝負になっているが、楽観できない状況だ。LG火災がシーズン中にライバル・チームのコーチを司令塔に迎える無理を強行したのもそのため。
その雰囲気が分かっているため、監督就任の第一声で「三星火災を乗り越えてみせる」と公言している。申英哲監督の最初の目標は今季プレーオフ進出だ。
「私がどんなに頑張っても三星火災は先生のチーム。自分のチームがほしかった」。
約束された将来を捨てて飛び出した新米監督は、いつになれば師匠を乗り越え、一人前の指導者になれるか。バレーボールのファンにとっては関心事がまた一つ増えた。
金尙浩 hyangsan@donga.com