02年初め、カナダ・バンクーバーに移民した元ファンドマネジャーのイム(41)氏は昨年末、ソウルに残しておいた42坪型のマンション1軒と4階立てビルを、約24億ウォン(約2億4000万円)で処分した。
イム氏は「韓国社会に不安感が広がり、不動産景気もすでに一定の上昇分が反映されたものとみられ、これ以上財産を残しておく必要がないと判断した」と話した。昨年、イム氏のような海外在住韓国人が韓国内に残しておいた資産を処分し、国外に持ち出した金額は、3年前に比べて約14倍増えた。
中央銀行の韓国銀行(韓銀)が1日発表したところによると、外国の市民権・永住権を持っている海外在住韓国人らの財産搬出金額は、昨年9億5480万ドルで、02年の5億4100万ドルに比べて76.5%も増えている。
とりわけ昨年中の海外在住韓国人の財産搬出金額は2000年6970万ドルの13.7倍で、現在の為替レート(先月27日の終値基準)に換算した場合、1兆1228億ウォンにのぼる。海外在住韓国人の財産搬出金額は、海外移民者が韓国内に残しておいた不動産、韓国ウォンの預金信託など資産を処分し、海外で持ち出した金額を合計したもの。
韓銀の尹毅正(ユン・ウィジョン)国際収支チーム長は「02年7月、海外在住韓国人を対象にした財産搬出申告制度が廃止された後、搬出金額が増えつづけている」とし「昨年、不動産価格が大幅に上昇した点も、海外在住韓国人らが不動産を処分するチャンスになっただろう」と説明した。
しかし、国際情勢に対する不安感から資産を処分した人も少なくないものとされる。海外在住韓国人が所有している不動産の委託管理を専門とするAコンサルティング社のJ社長は「現政権がスタートした昨春から、海外在住韓国人らの資産処分要請が大きく増えた」とし「韓国経済の不透明性と政治社会的な不安が広がっているなか、政府が相次いで強力な不動産対策を打ち立てたのを受けて、海外在住韓国人らが資産処分を急いでいる」と説明した。
朴重鍱 金昌源 sanjuck@donga.com changkim@donga.com