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[オピニオン]「サクラ」

Posted March. 03, 2004 23:25,   

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春がすぐそこまで近づいてきた。冬の間身を潜めていた花も芽を咲かせはじめた。日本のシンボル「サクラ(桜)」が、東京に向けて北上している。3月中旬〜4月上旬になると、日本中がうす紅色に色づく。花だよりが聞こえてくるころになると、人々は自分の街の桜がいつ頃咲くのかを気にする。満開の時期に合わせて、お花見の計画を立てなければならないからだ。そのため、気象情報を伝える際、地域別に桜の開花情報も欠かせない。

◆国内の桜祭りとしては、鎮海(チンへ)の軍港祭が有名だが、桜が満開した日本でのお花見もなかなかのものだ。メンツを重視する日本人たちも、この時だけは「礼儀」を脱ぎ捨て、お花見に託けて、公園や路上での飲酒歌舞を楽しむ。警察も、お花見のシーズンに限って、寛大になる。東京にある桜の名所上野公園には、1日20万人以上のお花見客で、足の踏みどころもないほど。端正な背広姿の新入社員たちが、職場の夜のお花見場所を確保しようと、朝早くから公園へと「出勤」することもある。

◆日本人が桜に熱狂するのは、一気に咲き誇っては、数日足らずではかなく散って行く属性のためだといわれる。封建時代には、武士道の象徴と考えられ「花は桜、人は侍」ということばさえあった。大義名分のために命を懸けなければならない瞬間、迷わずに死を選ぶ武士の精神が、華やかさを誇っては「あっ」という間に、はかなく花びらを落とす桜の、それに似ているというのだ。日帝(日本帝国主義)は、王の官邸だった昌慶宮(チャンギョングン)を遊園地にする際、花の木を切り捨てて、その場所に桜を植えた。「サクラ」には、植民地時代の辛い記憶が宿っている。

◆日本植民地支配からの独立後、サクラは、韓国の政治という舞台の上で蘇った。軍事独裁政権時代、サクラは「昼間は野党、夜は与党」を装う政治家を皮肉る言葉として使われた。この時のサクラは、花ではなく「客引き」「ペテン師」「拍手師」などを意味するもので、日本語から由来したもの。民主化とともに、韓国の政治舞台からサクラという用語は姿を消した。ところが、権力と時流に乗って政党を渡り歩く政治家は、未だに多い。彼らこそ「21世紀版サクラ」ではないだろうか、総選挙が行われる4月には、韓半島にも桜が満開することだろう。その興趣のあまり「新種のサクラ」に惑わされてはならないだろう。

朴元在(パク・ウォンジェ)東京特派員 parkwj@donga.com