「韓国で自分の将来を見出していたら、フランス代表にはならなかったでしょう」。
2002ソルトレーク冬季五輪のショートトラック金メダルリスト崔(チェ)ミンギョン(22)。先月、イタリアのボルミオで行われた国際スケート連盟(ISU)ワールドカップ第6回大会にフランス代表として出場し、国内に衝撃を与えた崔は8日、本紙との電話インタビューでこう語った。崔は現在フランスのディジョン市に滞在している。
「私たちのような不人気種目の選手は大学を出てもやることがないんです。苦労して練習したのに、皆金メダルを取った瞬間しか関心がない。運動に専念していたため勉強する時間もなかったのに、社会に出ると勉強をしなかったツケが回ってくる。しかも、女性はコーチにもなりにくい。フランスで勉強と運動を並行しながら、将来のことを考えたいですね」。
崔は「韓国代表としてオリンピックで金メダルを取ったのに他国の代表選手になるのに戸惑いはなかったか」という質問に、「悪いとは思わない。フランスに韓国を知らせる機会でもある」と答えた。
次は崔ミンギョンとの一門一答。
——どういう経緯でフランス代表選手になったのか。
「02年に韓国での選手生活を止めました。学校(梨花女子大)の友人がフランスによく行ったりして私も旅行のつもりで来てみたんです。そこで知人を通して顔を合わせたフランス・スケート代表チームの関係者から、フランス代表選手としてプレーしてみないかと言われたのです。フランスはまだショートトラックのレベルが低いため、私に活躍してもらいたかったようです」
——02年4月の代表選抜大会で脱落したのか。
「脱落ではなく、出場をしませんでした。韓国では選手としての将来がないと判断したのです。また、優秀な後輩に道を譲るべきだとも思いましたね。私は年金ももらってますからね」
崔ミンギョンは、02年ポーランドのザコパネ冬季ユニバーシアードで3冠王になり、02年冬季五輪の女子3000m継走で金メダルを獲得しており、毎月競技力向上年金100万ウォンを受けている。
——最近の生活は。
「ここでは代表チームであっても1年中合宿するようなシステムではありません。勉強をしながら試合がある度に選抜大会を経て代表を構成するので、普段はディジョンで語学研修コースに通っています」
——今後フランスに帰化するつもりか。
「フランス代表チームからはそう勧められているけど、どうすべきかまだよく分かりません」
——帰化しなくてもフランス代表選手としてプレーするのは可能か。
「ISUのルール違反ではないと聞いています。私がフランスに居住し、1年以上韓国代表として出場しなければ大丈夫だそうです」
崔ミンギョンの父親、崔ソンウンさん(56)は「フランス・スケート協会が娘に代表選手とコーチのポストを保障し、冬季五輪で3位内に入賞すれば、国際オリンピック委員会(IOC)の選手委員に推薦するという条件を提示した」と話している。
帰化するかどうかは崔ミンギョンの選択だ。しかし、彼女をフランス代表に向かわせたのは一体何なのか。電話インタビューが終わった後もしばらく納得のいかないものが残っていた。
朴濟均 phark@donga.com