マラソンのフルコースは自分への理解を深めるいい機会となる。長い時間走っていると、自分を振り返ることができ、身体の状態についても分かるようになる。しかし、マスターズマラソンは記録よりは楽しもうとする姿勢が重要だ。欲張らず、心の余裕を持って走っているうちに、記録もよくなるものだ。ソウル国際マラソンコースには難コースもなく、普段のペースを維持して走れば好成績が得られる。
▲6〜16km〓君子橋(クンジャギョ)交差点直前までは緩やかな下り坂になっている。5km地点の乙支(ウルチ)会館から7.5km地点の乙支路入口(ウルチロイプク)駅まで標高差10mの上り坂と続くが、序盤なので大きな負担にはならない。しかし、序盤であるため、力が余り、下り坂でペースが速くなるおそれがあるので、注意すべきところだ。出始めのオーバーペースはレースそのものをだめにする場合もある。給水所を通る度に少し喉を潤す程度で水を飲む必要がある。国宝第1号の崇礼門、宝物第1号の興仁之門(東大門)、王が農民たちと田植えをしたという踏十里(タプシンリ)など歴史を思い浮かべながら走れば、走る辛さを少し紛らわせる。沿道に並ぶ市民の拍手に手を上げて答えるのもお忘れなく。
▲16〜30km〓蚕室住公(チャムシルジュゴン)マンション523棟にある22km地点までは上り坂。標高差は約25m。上体を若干低くして走った方がいい。この地点になると、筋肉が緩み、身体もだんだん暑くなる。スピードを出したくなってもまだ我慢した方がい。21km地点の蚕室大橋を通過するころは午前9時から10時の間。爽快な漢江(ハンガン)の景色を楽しみながら気持ちよく走ればいい。30km地点のオリンピック選手村マンション204棟に近づくと、身体が重く感じられるはず。
▲30〜42.195km地点の都市開発マンション101棟までは比較的平坦なコース。しかし、ここが山場になる。心の片隅から「あきらめるか」という囁きが聞こえてくる。でも、家族の顔を思い浮かべてもう一度覚悟を新たにしよう。ここから41km地点の総合運動場前の交差路までは標高差10mの緩やかな上り坂。マスターズにはボストンの「ハートブレイクヒル(心臓破りの丘)」を連想するほど苦しいポイント。刻み足に走るショートトロット走法で力の損失を最小限にして走る。あらゆる逆境を乗り越え、いよいよ蚕室スタジアムに入って陸上トラックを走れば、大きな成就感を感じるはず。ゴールテープを切ってすぐ横になったり座ったりしないように。軽いストレッチングで筋肉をほぐせば、回復が早い。
梁鍾久 yjongk@donga.com