盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領の弾劾訴追案が可決されたことで、国民の多くは経済と民生問題を懸念している。最近の韓国経済は、通貨危機以降最悪の景気低迷と、その構造的悪循環に苦しんできた。そんな中、大統領の権限が停止されたのだから、国民と市場は敏感に反応せざるを得ない。
しかし、政府と民間の経済主体がこうした状況に上手く対応すれば、経済的な不安を短期間の内に解消し、市場をより安定させることができる。ムーディーズなど、世界の3大信用格付け会社は、弾劾案の可決は韓国の国家信用格付けに影響を及ぼさないだろうとしている。米国の総合金融グループのベアー・スターンズは、高健(コ・ゴン)首相による権限代行体制について「かえって、政策決定過程の脱政治化により、経済の運営が改善される可能性がある」と観測した。
実際、李憲宰(イ・ホンジェ)経済副首相の危機対処努力によって、市場は概ね好意的な反応を見せている。とりわけ、各国の投資機関にeメールを送り、政策の一貫性を強調したことは、海外の証券市場における韓国の株と債券価格を安定させる上で効を奏した。ただ、安心するにはまだ早い。政府は少しでも緊張を緩めてはならない。
企業や労働界、一般国民も平常心を失ってはならない。我々は、1970年代のオイルショック、80年代の政治不安、90年代の通貨危機など、あらゆる困難な危機をも克服しており、ひいては経済体質を改善する機会として活かしてきた。あらゆる経済主体は、今度こそ韓国経済が政治の荒波に揺れることなく、悪材料を打開できるだけの成熟さを見せるのに力を合せなければならない。
我が国の経済危機は、盧武鉉政権の発足以来、深刻化した投資不振、成長潜在力の低下、雇用なき成長などへの対応が漂流しているところに問題がある。漠然として、弾劾後の政局を不安に思うのではなく、経済の重点課題を解決するのに政府と国民の底力を結集すべきだ。そのためにも、高代行と李副首相が安定的なリーダーシップを発揮してくれることを期待するとともに、国民各界の協力を求めたい。