大統領弾劾問題をめぐる最大の関心事は憲法裁判所(憲裁)が棄却、却下、または弾劾のうち、どういう決定を下すかということだ。しかし、それに劣らず「いつ」決めるかも敏感で重要な問題だ。同じ結論だとしても「いつ下されるか」によって、政治・社会・経済などに与える影響も違うからだ。
また逆に決定時期をいつにするかが決定内容に影響を与えかねないという意見も一部で慎重に提起されている。時期と関連して最も重要な基準は総選挙だ。通常の憲裁の決定過程と手続きを考えれば、憲裁が総選挙前に弾劾の可否を最終的に決めるとは考えられない。
国会で意見書を提出してもらい、被請求人(盧武鉉大統領)の答弁書も受け取らなければならない。事実調査とともに当事者らが直接行なう弁論も聞いてみなければならない。海外の例を集めて分析する上でも時間と手間が相当かかる。憲裁研究官出身の黄道洙(ファン・ドス)弁護士は、「通常の基準で考えてみれば、総選挙前に決定するのは物理的にほとんど不可能であり、3ヵ月または6ヵ月を越す可能性のほうが高い」と述べた。
しかし、法曹界の多数意見は「今度は通常の手続きとは違うやり方で進められるだろう」としている。事案そのものが憲政史上前例のない重大事案である上、政治・経済的安定を考慮すれば至急であるためだ。尹永哲(ユン・ヨンチョル)憲法裁判所長も「迅速」と「正確」という現実的には矛盾している二つの原則をともに提示した。
法曹関係者の間では「総選挙前に決定が下される可能性がある」という意見も根強い。総選挙後に決定する場合、憲裁の本意とは違って政治的誤解を受けかねないため、憲裁が総選挙前に決定を急ぐ可能性が高いということだ。彼らは総選挙後に決定した場合、憲裁が負うことになる「政治的負担」を次のように提示する。
まず総選挙で与党が圧勝した後、憲裁で弾劾棄却決定が下される場合だ。この場合、「総選挙の民意が憲裁の決定に影響した」という意見が出かねない。逆に与党が惨敗した後憲裁で弾劾決定が下される場合にも「正反対の誤解」が提起されるに決まっている。与党が総選挙で勝利して結果的に盧大統領が「再信任」を受けた後、憲裁がそれに相反する弾劾決定を下すのも負担になるはずだと、一部の法曹関係者らは予測している。
反面、総選挙前に決断を下す場合、憲裁の決定内容が総選挙に影響しかねない。「憲法精神とは何か」に対する判断を下すだけでなく、「選挙に影響を与える党派的判断」を共にしたという評価が出るなど、憲裁としては並大抵の負担ではない。
今のところ憲裁が「正確」と「迅速」のうちどちらを選ぶかは断言しにくい。どの場合でも損得があるためだ。憲裁研究官出身のある弁護士は、「簡単に予想できない」とした上で「憲裁の設置そのものが政治的妥協の産物である上、憲裁の裁判官らも憲裁自体の位相を重視するため、決定が意外に早くなる可能性もある」と話した。
李秀衡 sooh@donga.com