野党ハンナラ党の崔秉烈(チェ・ビョンリョル)代表が一昨日党の公認候補者大会で、「親盧−反盧間の生死決断の場となった総選挙で必ずや勝たなければならない」と述べたのは大変不適切な発言だ。
総選挙出馬者を激励するための言葉とはいえ、弾劾をめぐって世論が極端に二分化している状況下で、第1党の代表が表立って発言すべき言葉ではなかった。言い過ぎはまた別の状況に突っ走る恐れがある。
論理的にもおかしい。崔代表は盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領の選挙法違反と側近の不正、経済破綻が弾劾の理由になると確信し、弾劾案を貫いたのではなかったか。だとすれば、弾劾審判は憲法裁判所に任せて、総選挙は総選挙らしくことに当たろうと訴えてしかるべきだ。いきなり「親盧対反盧の死闘」を持ち出しては国民を納得させることはできない。特定政治勢力がそうした二分法的な戦略で臨んできても、激しくそれを非難してしかるべきだ。それが野党代表がすべきことである。
崔代表は「度が過ぎた発言」をするよりは、どうしてこんな状況にまで追い込まれたのかを謙虚に振り返ってみるべきだ。国民の絶対多数は選挙法違反に対する大統領の謝罪を要求した。盧大統領の支持率も30%台以下だ。にも関わらず、70%近くの国民が弾劾に反対した。その国民が全て「親盧」でないとすれば、理由はハンナラ党に対する失望のためである。代案勢力として信頼がおけないからだ。不法選挙資金問題を今さらに取り上げるまでもない。
崔代表は党の活路を他のレベルで模索すべきだ。旧態とした腐敗政党のイメージ、リーダーシップの不在が強硬闘争の影に隠れるだろうと思っているのであれば、それは誤算である。弾劾政局を口実に党の改革を適当にごまかそうとするのは、いっそのことあるまじき姿だ。選挙まではまだ1ヵ月も残っている。