25年間も破られていない陸上男子100mの韓国記録。その難攻不落の城を打ち破るための「韓日合作」プログラムが秘密裏に進められている。「銃弾人間」に挑む男子100mは陸上の花。それがゆえに新記録樹立に向けた努力も並大抵のものではない。ティム・モンゴメリ(米国)は02年新しい世界記録(9秒78)を記録し、日本でも1998年伊藤浩二がアジア記録(10秒F)を出した。
反面、韓国記録は依然として1979年、メキシコ・ユニバーシアードでソ・マルグが立てた10秒34のまま。25年間たった100分の1秒も縮められなかった。その「恥ずかしい歴史」を日本人のコーチと韓国人選手が塗り替える。
大韓陸上競技連盟は昨年12月、「日本短距離の父」と呼ばれる宮川千秋東海大体育科教授(57)を国家代表常備軍コーチとして迎え入れた。国家代表チーム監督出身の宮川教授はそのときから韓国と日本を行き来しながら国内の有望株8名(男3、女5)を指導してきており、その内容は徹底的に秘密に付された。国内の世論を勘案したという。
宮川教授は、アジア男子100m記録保有者の伊藤浩二(34)をはじめ、朝原宣治(32、10秒02)、「日本短距離の新星」末続慎吾(24、10秒03)らを育て上げて日本短距離を世界水準に押し上げた名将。宮川教授自身も日本代表として活躍して、現役時代10秒33の記録を出した。
昨年2月まで1ヵ月に1度ずつ3回にわたって韓国の常備軍を指導した宮川教授は、「韓国選手らは体格がよいため、韓国記録を塗り替えるのは時間の問題だ」と言い切った。李ジョンフン忠南(チュンナム)大体育科教授は、宮川教授から「今年度中に韓国新記録の樹立が可能だという話を聞いた」と話した。
宮川教授が一番先に試みたのは選手らの走り方を直したこと。西洋選手に比べてパワーが落ちるにもかかわらず走る時にひざを上げすぎるのが問題だった。実際、教授は東洋選手に適合した走り方を開発してアジア記録を出した。教授が育てた末続選手は男子200mのアジア記録(20秒03)の保有者。
18日から30日まで大田(テジョン)で4回目の合宿訓練に入る宮川教授は6月までに計8回韓国選手を指導する予定だ。宮川教授が韓国記録を破ると確信している有望株はチョン・トクヒョン(29、忠南大1年)。チョンの自己最高記録は01年全国体育大会で立てた10秒62。184センチに75キロと、スプリンターとしては最適の身体条件を持っており、特に東洋選手には足りないとされる柔軟性が優れていると評価している。
宮川教授は今年10月、チョンを東海大学に留学させて大選手に育て上げる計画だ。宮川教授は「スプリント理論とテクニック(スプリントのための抵抗的訓練)」という論文で博士学位を取り、大学ではスプリントの訓練方法論で訓練システムの周期論について研究している。
梁鍾久 yjongk@donga.com