宇宙の起源は何であり、人類はいつ、どこから生まれてきたのだろうか。太古に大爆発(ビッグバン)で宇宙ができ、およそ600万年前にアフリカに住み、その遺骨を残したルーシー(Lucy)があらゆる人類の母というのが最近の定説だ。太古からの長いリンクの輪と森羅万象が織り成されてきた。事物、現象、事件の人間関係が続いてきた。先に原因があったから後に結果がある。人間の歴史もそうだ。
◆しかし、愚かな人々は長い因果律の輪を自分勝手に切ってしまい、うまく行ったことは自分のお陰、間違ったことは他人のせいにする。大統領弾劾案可決後、賛否をめぐる議論がまさにそれだ。事態の収拾を憲法裁判所に任せて判決に従うのが民主市民の望ましい姿勢だ。国会での乱闘劇の原因提供者が誰なのかを考えれば、いとも簡単にその是非が分かる。
◆賛否をめぐる集会によって国論が分裂している。法を守らず集団で国事を決めようとすれば、法を作る国会議員をどうして選ぶのか。多数決の原則を無視するなら、どうして敢えて多数党になろうとするのか。人は誰もが累代の祖先の子孫で、そしてまた次の世代の祖先になる。生から死に至るまでの宿命の輪から脱した人間はいない。最近のソウルでは、人間の輪から解放されたような別種の人間が話題を呼んでいる。すぐに謝りはしたものの、60、70代の投票権行使をあざ笑った政治家は、生老病死の輪から脱した人間と言えよう。
◆繁栄する社会は、人々の権利と義務がきめ細かい網の目のようによく編まれた共同体だ。衰退する社会は権利と責任が分離し、網の目が粗くて崩れた場合だ。この頃の韓国社会はどうだろうか。税金を払わず、兵役を逃れ、反政府運動をした人々の韓国が、まさに来ようとしているかのようだ。少数の腐敗した人物のために、これまで熱心に働きながら各種国民の義務を果たしてきた大多数の既成世代が、安売りで退場の脅威にさらされている。しかし、昔の高麗葬(コリョジャン、高句麗時代姥捨て山説話)の話のように、宿命的な世代交代は次の世代にも訪れる。この時代の精神的な支えである金寿換(キム・スファン)枢機卿を「時代錯誤的」と侮辱した後輩神父の独り善がりと傲慢を考えれば、国を立て直すために簡単に譲ることはできないという覚悟を新たにする。
金秉柱(キム・ビョンジュ)客員論説委員、西江(ソガン)大学名誉教授・経済学
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