イラクで韓国人抑留事件が相次いで発生するや、韓国軍のイラク派兵問題が総選挙政局の新しい争点に浮上している。
特に、ハンナラ党と自民連は派兵賛成の立場をはっきり明らかにした一方、民主党と民主労働党は派兵計画の全面見直しを主張している。与党であるヨルリン・ウリ党の内部でも派兵時期の再調整論が提起されていて、政界に派兵問題をめぐる論争が高まっている。
ハンナラ党の朴槿恵(パク・グンヘ)代表は9日、ソウル汝矣島(ヨイド)テント党本部で記者と会って 「国会で通過した約束は守らなければならないし、全世界が韓国の国際的信義がどうかを見守っている」とし「国家的約束を守らない国は国際社会に立つ瀬がない」と派兵賛成の方針を再確認した。
朴代表はただ「状況が急変しているだけに派兵の性格と時期などは政府がよく対処しなければならない」とし、有事の際には派兵時期などを弾力的に対応する方針であることを示唆した。
ハンナラ党は派兵問題の政治論争に拡大することを警戒した。イラク変数が選挙図の再編につながる場合、党の上昇ムードに水を差す可能性があるからだ。
自民連の金鍾泌(キム・ジョンピル)総裁も同日、京畿(キョンギ)地域での支援遊説で「派兵は国家的約束なので必ず守られなければならない」と強調した。
ウリ党は1月、臨時国会で曲折の末に派兵案を通過させた当時の状況に戻ったような雰囲気だ。鄭東泳(チョン・ドンヨン)議長は同日「派兵原則の大きな枠組みには変化がない」とし「しかし状況を見守りながら、状況変化による対応を検討する必要がある」と話した。一方、金槿泰(キム・グンテ)院内代表は私見を前提に「6月末イラク臨時政府が主権の移譲を受けた後に派兵することを前向きに検討するのが望ましい」として、指導部間の異見を示した。
金院内代表の発言は派兵に反対してきたウリ党支持層に対するメッセージとも見られる。結局、ウリ党は国政の責任を負わなければならない与党としての役割と支持勢力の結集という二つの課題の間で悩む姿を見せている。
党内の一角ではイラク変数と大統領の不在状況があいまって、しばらく落ち着きを見せた弾劾の火種が生き返るだろうという期待混じりの観測も出ている。
民主党は局面の反転のきっかけになることを期待している。民主党がイラク派兵同意案の国会処理のとき、勧告的反対党論を採択しただけに、派兵案に賛成したハンナラ党及びウリ党と差別化が可能だという判断からだ。
秋美愛(チュ・ミエ)選挙対策委員長は同日選挙対策委員会会議で「米国の名分のない戦地にハンナラ党とウリ党は派兵を固執している。これは明白なハンナラ党とウリ党の共助と同時に平和破壊共助」とし、「派兵は原点から見直ししなければならない」と主張した。
民主党は、これを通じて民主党に背を向けた伝統的支持層に「復帰」の名分を提供する一方、ウリ党の内部紛乱を触発させるという戦略だ。
民主労働党の権永吉(クォン・ヨンギル)代表も同日、慶尚南道昌原(キョンサンナムド・チャンウォン)で「国民が被害をこうむる事態が発生すれば、派兵を支持したハンナラ党の朴代表とウリ党の鄭議長は直ちに辞退しなければならない。今度の選挙で必ず第3党になって派兵そのものを無効化させる」と約束した。