少数与党であるため、経済や民生を充分にこなせなかったヨルリン・ウリ党が、国会議席数の過半数を確保した。ハンナラ党は庶民生活の問題に集中する政党に生まれ変わるとして、議席40%の第1野党に起死回生をかける。庶民と弱者に幸福の門を開くと言った民主労働党は、初の院内進出とともに、一躍第3党となった。3党はもはや行動で国民に答えなければならない。経済の最も大きな不確実性の要因となっていた政治の混乱から、まず解決しなければならない。
韓国経済は、善循環のきっかけを掴みにくい構造的ジレンマに陥っている。高い成長を続けて、その效果が分配を改善し、大多数の国民の暮らしを先進国化して国家競争力を強化し、そして未来を約束することが、経済の善循環である。しかし、現実は悪循環の条件に押さえつけられている。
輸出は好調だが、それでも昨年の成長はわずか3%だった。投資と消費が萎縮したことで、中長期的な成長潜在力まで急速に崩れている。雇用を創出することができず、家計負債と信用不良者は急増し、景気は停滞から脱することのできない悪循環が続く。物価不安まで重なって、実質所得の減少、購買力低下の悪循環という輪でつながっている。浮動資金を生産部門に吸収する投資誘因がないため、投機熱風を鎮めることができない。結局、経済的弱者の苦痛は相対的に大きくなるしかない。
このような経済の現実を「すべてうまくいくようにする」という空虚な選挙公約で解決するというなら、欺瞞であり錯覚だ。具体的かつ有効な財政対策もない。悪循環の輪の一部分だけ無理やりに断ち切るために資源配分を歪曲させるなら、状況はより悪化する。非現実的な公約と支持の対価を望む有権者の心理が、経済悪循環を加速化させないように、まずは「公約のバブル」から消さなければならない状況だ。
何よりも「金は利益を追求する」という市場経済の基本に戻らなければならない。海外よりも国内に投資する方がより有利となる環境づくりをすれば、企業は自然にそうするだろう。韓国が他国よりも安心して投資するに値する所に変われば、外国資本も韓国に入ってくるだろう。その結果、国内の雇用も増え、消費も生き返えるはずだ。輸出、投資、消費がともに成長を牽引するようになれば、経済が善循環の軌道に乗ることができる。
反企業感情で企業家精神を殺し、法に反した集団行動で分配拡大だけを要求し、負担は分けないにもかかわらず無条件に不正規職を正規職に変えろと叫ぶやり方では、経済悪循環を断つことはできない。各政党は、経済回生の目的と手段に対するバランスのとれた判断のもと、整合性のある政策を開発して、合意点を見出し、速やかに実行するように協力しなければならない。
各党の理念と経済観の差によって解決策が相反する時は、具体的な手段を含む政策代案をめぐって熾烈な善意の競争をし、「便益とコスト」を国民が充分に判断できるようにしなければならない。ところどころに「地雷」が埋められている経済を、選挙上のポピュリズム的なアプローチで扱ったなら、回生どころか台無しにする過誤を犯すことを、責任ある公党なら悟らなければならない。