ポーランドの首都ワルシャワの旧市街地(Old Town)は、実は「旧市街地」ではない。第2次世界大戦の終盤、ワルシャワの市民軍とユダヤ人の相次ぐ蜂起に激怒したヒットラーは、「ワルシャワ破壊」を命令した。ナチスは、ワルシャワのすべての建物に爆薬を設置して破壊した。ローマ軍が完全に破壊して消えたカルタゴのように、ワルシャワは地図上の名前だけが残った。ロマン・ポルランスキー監督の映画「ピアニスト」は、当時の惨状を表現している。今日のワルシャワ旧市街地は、戦後のポーランドが徹底的な考証を経て昔の姿を再現した「新市街地」である。
◆歴史の加害者と被害者だったドイツとポーランドが1日、欧州連合(EU)という垣根の中で再会した。同日EUに加盟したチェコも、300年間自国を支配したオーストリアと一つの家族になった。1000年もの間支配・被支配の関係だったハンガリーとスロバキアも、ともにEUに加わった。振り返れば、従来のEU加盟国と中・東欧の新規加盟国は、冷戦当時米国とソ連陣営に分かれて銃を突き合わせた敵国だった。英BBC放送が「EU拡大で初めて冷戦終焉のルビコン川を渡った」と評価したのもこのためだ。
◆来月5日、フランスのノルマンディーでは、さらなる「和解」が成立する。ノルマンディー上陸作戦60周年記念行事に、ドイツのシュレダー首相が出席する。第2次世界大戦を連合軍の勝利に導いた上陸作戦記念行事に、ドイツ政府の首班が出席するのは初めてだ。欧州で相次いで行われる和解には、加害国の率直な謝罪が敷かれている。1970年、ワルシャワのユダヤ人慰霊碑を訪れた西ドイツのブラント首相は、水溜りの地面にひざまずき涙を流してナチスの蛮行を謝罪した。
◆欧州と違って韓半島周辺は、まだ不和の暗雲が覆いかぶさっている。独島(トクト)問題や東海(トンヘ)表記など、韓国と日本の間には波風の静まる日がない。韓国国民は加害者だった日本指導者の涙の贖罪の代わりに「奇襲的な神社参拝」に慣れている。だからといって日本のせいにばかりはできない。南北の和解、何よりも保守と進歩に分かれた南・南の和解も容易ではない状況だ。欧州に吹く和解のそよ風が、ユーラシア大陸を越えて韓半島にまで吹く日はいつだろうか。
朴済均(パク・ジェギュン)パリ特派員phark@donga.com