盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領弾劾訴追の是非に対する憲法裁判所の棄却判決は一言で「多数と少数の妥協の産物」と解釈することができる。
多数意見に従って「棄却」の決定を下したものの、内容の面では少数裁判官が主張した盧大統領の選挙法違反や憲法守護義務違反などを強く指摘したためだ。したがって、盧大統領には「弾劾棄却と大統領権限復帰」という実利を、弾劾訴追を推進した野党には相当な名分を与えた折衷型の判決だと言える。
こうした結論は憲法裁裁判官の構成と性向から鑑みてある程度予見されたものだった。裁判官は推薦機関によって与党と野党に区分され、政治的性向と理念も分かれる。もちろん、憲法裁は政治性を排除して「規範的判断」を下したと言っているが、その判断の根底には性向と理念が働かざるを得ない。
実際に評議が進行されるにつれて裁判官の討論も激しさを増した。一部裁判官は帰宅して「眠りにつけない」ぐらいだったという。したがって最終判決を数日後に控えて、裁判官らは「全員合意」を諦めて票決に入り、「棄却」という多数意見と「認容」という少数意見に分かれたものとみられる。
「棄却」または「認容」の可否と共に争点になったのが少数意見公表の可否。多数の裁判官は法規定などを根拠に少数意見の公開に反対した。しかし、「認容」の意見を出した少数裁判官は少数意見公開を強く主張したという。認容(弾劾)意見は最初は9人のうち4人だったが、最終判決直前3人に減ったと伝えられる。しかし、3人の主張はさらに強くなったという。
裁判部は結局折衷を試み、その結果、少数意見を別途公開しない代わりに決定文内容にその内容を大幅反映することにしたものとみられる。
少数意見が最も明確に反映された部分は、大統領の選挙法違反の可否だ。裁判部は放送記者クラブ記者会見などで行われた盧大統領の与党支持発言が公務員選挙法第9条「公務員の選挙中立義務」に違反したものだと明確に明らかにした。これは訴追委員側の主張を相当部分認めたものだ。
その他の争点、つまり大統領側近不正と経済破綻に対しては大統領代理人団側の主張を受け入れたが、こうした結論は簡単に予見できたものだった。
結論的に憲法裁の妥協的決定で盧大統領は「後味悪い勝利」を、野党は「面子だけは保てた敗北」を記録するようになったと言える。
李秀衡 sooh@donga.com