イラクの米英暫定占領当局(CPA)のブレマー代表とパウエル国務長官が、イラクでの条件付き米軍撤退用意について言及したが、一日たってブッシュ大統領は発言の真意をより明確にした。6月30日イラクに主権を移譲しても米軍の駐留は続くと明らかにしたのだ。
一見「行き違い」に見える発言の背景と狙いに関心が集まっている。果して米国は米軍撤退を念頭に置いているのだろうか、それとも撤退と言いながら他の狙いがあるのだろうか。
▲イラク世論の沈静化〓イラクの米英暫定占領当局(CPA)が最近行った世論調査の結果では、イラク国民の80%がCPAに不信を抱いており、82%が米軍など連合軍の駐留に反対している。
イラク内の反米感情は、アブグレイブ捕虜収容所の虐待事件で頂点に達した。このためにイラクからの米軍撤退に関する発言は、激しさを増すイラク内の反米世論を沈静化を図った意図的な「処方」という分析が出ている。
昨年10月にも、イラク統治評議会委員の相当数が米軍政に不満を抱き、ブリマー代表が召集した会議に参加しなかったことを受けて、ブッシュ大統領は「統治評議会により多くの権限と責任を渡す」と述べて、イラク指導層を慰撫した。
連合軍はアブグレイブ収容所に収監されたイラク人315人を14日午後、突然釈放してこのような分析を裏付けた。
▲イラクと国連に対する圧力〓米軍が引き続き駐留するかどうかは、イラク主権移譲後に構成されるイラク過渡政府と米軍の「駐留軍の地位協定」によって決まる。
パウエル長官は、米軍撤退の可能性を示唆しながらも「イラク国民とイラク暫定政府を支援して保護するために駐留させる」と主張した。また「連合軍が6月30日以後にも、イラクに駐留するためには、イラクの行政法が連合軍の駐留に必要な権限を与えなければならない」と付け加えた。
このような流れから、パウエル長官の発言は米軍撤退よりは駐留に重きを置いたことと解釈される。「願わなければ撤退させるが、自ら治安を担当しなければならない」と条件をつけた。
ブッシュ大統領は15日「イラク国民が自ら自国を守ることができるまでイラクに残り、イラク国民を助ける」と述べ、暫定政府の能力に懐疑的な見方を示した。
▲国連を引き込む?〓連合軍の継続駐留のためには新しい国連決議案が必要だとしたパウエル長官の発言は、米軍が引き続き駐留するかどうかと国連の介入をかみ合わせたい思惑が背景にあるものとみられる。
ホワイトハウスのライス安保補佐官は14日から16日までモスクワを訪問してプーチン・ロシア大統領と会談し、ブッシュ大統領の親書を渡した。国連安全保障理事会で新しいイラク決議案を推進している米国としてはロシアの支持を必要としている。
ロシアは先週、フランスとイラク事態と関連して共同歩調を取ることを約束し、「すべての安保理理事国が合意した決議案のみを支持する」と明らかにしている。
米国は、国連安保理の決議による多国籍平和維持軍のイラク派兵に対して、ロシアの意思を打診したという。ロシアは「7月1日に発足するイラク暫定政府が選挙まで制限的にイラクを統治するという事実を明確にして、平和維持軍の日程があらかじめ決まれば、派兵そのものには反対しない」と明らかにした。
朱性元 swon@donga.com