ロシア・シベリアのコビクタ・ガス田からパイプラインガス(PNG)を、中国を経て韓国に入れようとする「イルクーツク・ガス田開発事業」が白紙化する危機に瀕している。
ロシア政府が、バイカル湖の南端・アンガルスク〜中国大慶〜西海(ソヘ)〜平沢(ピョンテク)につながるガス管予定路線を変更する案を検討中であることが18日、確認されたためだ。
14日、ロシア国営ガス公社(ガスプロム)が主催したシベリア・エネルギー開発会議では、今後建設されるシベリアの全てのガス管と送油管をハバロフスク〜極東ナホトカ路線に一本化することを決めた。
ガスプロムは、政府の代わりにロシア内の全てのエネルギー開発事業調整権限を握っており、今回の決定は事実上、クレムリンの意思として受け止められている。
イルクーツク・ガス田事業を主導しているBP−TNKの関係者も、ロシア紙コメルサントとのインタビューで、「経済性さえあれば、ナホトカまでガス管を連結する案を受け入れることができる」と述べた。
ロシアはコビクタのガスを、最初から国内供給用に振る向ける案も検討中だ。韓国と中国には、コビクタより北方にあるサハ共和国のチャヤンディンスコ・ガス田を対案として提示するとみられる。同ガス田はコビクタより150kmも遠いので、ガス管建設費用も増え、期間も伸びることになる。
ガス管路線変更は最近、シベリア送油管路線がナホトカに向かう「極東ライン」に決まったこととも関連がある。当初、シベリア・ガス管と似たような路線で中国の方に建設される予定だった送油管は、最近、日本の執拗な説得で極東へと方向修正した。送油管とガス管を並んで建設すれば建設経費が減るので、送油管に沿ってガス管路線も変わったわけだ。
中国との関係が気になるにもかかわらず、ロシアが送油管とガス管を極東に回そうとする理由は複雑だ。ナホトカ港を通じて日本と米国市場を狙うことができるうえ、日本の大規模投資を誘致して遅れをとっている極東地域も開発できる。今後、北シベリアのガス田と油田を開発する時には、極東に連結しやすい。長期的には中国を牽制しようという意図もある。
中国はガス供給が急がれている状態ではないので、問題は韓国だ。エネルギー導入計画は中長期的になされるため、イルクーツク・ガス田事業が白紙に戻される場合に備えた対案を講じなければならないという指摘が出ている。
金起顯 kimkihy@donga.com